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【講演会参加】COPDに対するデュピルマブ適応追加についての講演会

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Topics: COPDに対するデュピルマブ(デュピクセント)の適応追加

デュピルマブはIL‑4/IL‑13経路を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体でアレルギーの原因となる2型炎症を抑制する作用を有する。現在「重症喘息」「アトピー性皮膚炎」「鼻茸を伴う副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)」「特発性の慢性蕁麻疹」「結節性痒疹」に対する適応があるが「COPD」に適応追加となりこれで6適応目の疾患となる。日本ではCOPD治療薬としては初の生物学的製剤となる。COPDの一部患者では特に血中好酸球増加による2型炎症が見られ増悪抑制が期待されていた厚生労働省はデュピルマブ皮下注300 mg(pen/シリンジ)に対して既存の吸入療法(LABA、LAMA、ICS併用またはLABA+LAMA)で効果不十分な40歳以上のCOPD患者」を適応とする製造販売承認事項変更を承認。承認根拠は国際共同第Ⅲ相試験(BOREAS)データ。対象は背景治療下でEos ≥300/μLのCOPD 931例(日本人13例含む)増悪イベントの年率:デュピルマブ群:0.788回/人・年(95%CI:0.655–0.949)プラセボ群:1.113回/人・年(95%CI:0.941–1.316)p=0.0005NOTUS試験でも同様に、増悪率の低下(annualized exacerbation rate:デュピルマブ群0.86 vs プラセボ1.30、率比0.66, p<0.001)、FEV₁(1秒量)改善、生活の質面でも優位な傾向が確認された。エビデンスはBOREAS(国際・日本人混在)に加え、NOTUS(29か国)からも得られており、COPDにおける2型炎症マーカー(Eos ≥300/μL)の有用性が支持された。今後はCOPDの診断と喘息同様にバイオマーカーの評価、適切な患者層への普及が鍵となるだろう。

講演要旨

2025年7月6日に行われたCOPDについての講演会に参加致しました。主にCOPDに対する生物学的「デュピクセント(デュピルマブ)」の適応追加についての講演内容となります。本講演プログラム、講演要旨をまとめますのでご興味がある方はぜひご覧ください。

講演プログラム

Lecture I:10:00 - 10:30
演者:奈良県立医科大学 呼吸器内科学講座 教授 室 繁郎 先生
演題:COPDにおけるType2炎症

・末梢血好酸球、FeNOなどバイオマーカーはType2炎症の評価に有用
・「COPDと好酸球」呼吸機能低下、COPD増悪、ICS治療反応性と関連
・喫煙経験者では気道周囲の好酸球が増加し、血中好酸球と相関する
・COPDに対するTreatable Traits
・気道好酸球はIL-13,MMPを介し肺の気腫化と関連【基礎データ】
・木漏れ陽2032(健康日本21)
・COPDにおけるアンメットニーズ:SITT使用も51%は増悪しているという事実

Lecture II:10:30 - 11:00
演者:山口大学大学院医学系研究科 呼吸器・感染症内科学講座 教授 松永 和人 先生
演題:Type2炎症を伴うCOPDの治療戦略~デュピルマブの可能性~

・気道におけるType2炎症とは:Th2細胞やILC2が産生する2型炎症性サイトカイン
・COPDにおけるType2炎症関連遺伝子の発現:IL-13関連、気流制限とステロイド反応性
・Type2炎症を伴うCOPD患者では増悪や呼吸機能の経年低下など将来のrisk高くなる
・Type2炎症を伴うCOPDの治療反応性について
・COPD:好酸球高値であればあるほどICS反応性は増加、気道感染Riskは低下
・SITT(3剤配合剤)を使用しても約50%は増悪している(IMPACT sub解析)
・COPD増悪によるHRQOLへの影響
・COPD軽度増悪はCAT増加(2点)と関連
・COPD管理目標
・BOREAS:
-COPD(Eo>300),
-主要評価:52w中等度・重度増悪率,1.113回/年 vs 0.788回/年
-FEV1の変化量と推移
-SGRQ(MCID>4, 51.2%)
-E-RS:COPD総スコアの改善
-感染症/寄生虫症/好酸球増加症などの有害事象少数、筋肉痛少数
・BOREAS-NOTUS併合解析(n=1800)
-1.168回/年 vs 0.804回/年, 肺気腫集団(3割):1.440回/年 vs 0.94回/年
-SGRQ症状ドメインの改善が大きい
-E-RS(MCID 2.0)「 息切れ」(変化量:大)「喀痰」「胸部症状」いずれも改善
・GOLD2025
-COPD増悪頻度を低減させる治療に追加された
-薬物療法アルゴリズムにデュピルマブが追加された


Panel Discussion:11:15 - 12:00
テーマ:自験例に基づく日本人COPD患者に対するデュピルマブの有用性

Closing Remarks:12:00 - 12:10
大崎市民病院 アカデミックセンター 監理官 一ノ瀬 正和 先生

<参考記事>

COPD
呼気NO(FeNO)検査
肺機能検査(呼吸機能検査・スパイロメトリー)
【講演会】人生100年時代のCOPD 治療を考える~健康日本 21・木洩れ陽 2032 を含めて~
【講演会】「明日からできる!プライマリケア医のためのスパイロ実践~COPDを診断し適切な治療に繋げよう~」

著者

医療法人社団 ギブネス
葛西よこやま内科・呼吸器内科クリニック院長 横山裕

横山裕

資格
  • 総合内科専門医
  • 呼吸器内科専門医
  • アレルギー専門医

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