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呼気NO(FeNO)検査【喘息の診断・管理】

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NIOX

呼気一酸化窒素(FeNO)は気道中のアレルギーを見る検査で、喘息咳喘息の診断だけでなく、既に喘息と診断された方の炎症コントロールをみる指標としても有用です。このページでは呼気NO検査について呼吸器専門医が解説します。

 

 

1. 呼気一酸化窒素(FeNO)とは何か

1-1. 呼気一酸化窒素(FeNO)が気管支で産生される仕組み

FwNOが産生される仕組み8

 

呼気中一酸化窒素(FeNO)は喘息咳喘息など気道のアレルギー性炎症が原因で上がります。喘息のアレルギーの原因である炎症性サイトカインの「IL-4」と「IL-13」は「ILC2(自然免疫リンパ球2型)」や「Th2(ヘルパー2型細胞」より産生され「STAT6」という転写因子を介し、気道上皮細胞でNO合成酵素である「iNOS」の合成が誘導され、多量の「NO」が産生され、気道中に放出されます。つまり喘息で呼気NO検査が上昇している場合、「IL-4」と「IL-13」という炎症性サイトカインが高値であり「自然免疫」や「獲得免疫」由来のアレルギー炎症があることを表しています。

 

1-2. 自然免疫によるアレルギーとFeNO

FeNOとアレルギーの仕組みそれではFeNO産生の原因となる自然免疫とはどのようなアレルギーなのでしょうか。実は喘息のアレルギーには複数の経路があることが分かっています。「IgE」「好酸球」「Th2」「自然免疫」を総称して「2型炎症」、それ以外の経路である「非2型炎症」です。FeNOはこのうち「自然免疫」「Th2」「好酸球」と関わりがある検査となります。喘息患者さんの半数以上はFeNOが上昇しますが、一部の喘息患者さんではFeNOは低値となるため、FeNOが低いからといって必ずしも喘息の可能性を否定出来るわけではありません。

 

2. FeNOの基準値と喘息診断の目安について

FeNOと喘息診断

健常者のFeNO値の平均は15.9ppb、健常上限値は36.8ppb、喘息患者の平均値は47.3ppbであることが報告されています。「喘鳴や呼吸苦」など喘息を疑う症状に加え、FeNO値が健常上限値の37ppbを超えている場合は喘息診断となります。一方、呼気NOが37ppbを下回っている場合、喘息を疑う症状(喘鳴)や過去の喘息症状の既往、呼吸機能検査ピークフローを加味して、総合的な判断が必要になります。

 

3. 咳喘息を疑う根拠として

ATS:FeNO値の目安

健常者でもFeNOはある程度上昇することがあり、健常上限値は36.8ppbといわれています。ATS(アメリカ胸部疾患学会)によるFeNOのガイドラインでは、FeNO値は25ppb以下で低値、25~50ppbで中等度、50ppb~で高値とされ、ステロイド治療が奏功するかどうかの目安を25ppb以上としています。喘息を疑う症状(喘鳴・呼吸苦)はないものの咳が続く「咳喘息」を疑う場合には「FeNO値が25ppb超」であることが吸入薬が奏功する1つの目安になるでしょう。

 

4. 喘息管理の目安として

 

FeNOと1秒量経年低下の関係

FeNOが40ppbを超えている喘息患者さんでは経年的な肺機能(1秒量)の低下が大きかったことが報告されています。喘息管理上、FeNOは25ppb以下(炎症がない状態)を指標として目指すと良いでしょう。

 

5. FeNOと喘息と好酸球性副鼻腔炎(ECRS)

FeNOと喘息とECRSの関係

喘息治療を行ってもFeNO値が50ppbを超えている場合、好酸球性副鼻腔炎(ECRS)を合併しているかもしれません。ECRSは国が指定する難病の1つで、鼻の篩骨洞という場所に出来るアレルギー性の副鼻腔炎です。喘息にECRSが合併するとFeNOが高値となる他、喘息が重症化することが多く注意が必要です。

 

6. FeNO測定の実際

当院ではNIOX VERO(CHEST社)を採用しています。①まず息を最大限吐き切ります②次にフィルターを通して最大まで吸ってください。③その後フィルター越しに10秒間息を吐き続けます(この際息を吐くスピードは一定にします。)④1分後に結果が判明します。

7. 検査費用

呼気NO検査を行った際の自己負担金額は3割で約900円程度となります。

検査料:呼気中一酸化窒素濃度測定(150点)
・判断料:呼吸機能検査判断料(145点)
・合計295点

 

8. 終わりに

呼気NO(FeNO)検査は、喘息咳喘息などの気道のアレルギー性炎症を「見える化」できる有用な検査です。自覚症状だけでは判断が難しい軽症の喘息や、治療中の炎症コントロールの評価にも活用され、「喘息の診断」や「喘息の治療管理」に役立ちます。当院ではCHEST社の「NIOX VERO」を4台導入し、いつでも短時間で正確な評価ができる体制を整えております。「咳が続いているが原因がわからない」「喘息かどうかはっきり診断してほしい」「現在の治療が自分に合っているのか不安」といったお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。呼吸器専門医が、丁寧な問診と適切な検査をもとに、あなたに最適な診断と治療をご提案いたします。安心して日々を過ごしていただけるよう、全力でサポートさせていただきます。

 

著者

医療法人社団 ギブネス
葛西よこやま内科・呼吸器内科クリニック院長 横山裕

横山裕

資格
  • 総合内科専門医
  • 呼吸器内科専門医
  • アレルギー専門医

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