溶連菌は大人もうつる?症状・治療方法など医師がやさしく解説
溶連菌は大人もうつる?症状・治療方法など医師がやさしく解説

溶連菌(ようれんきん)感染症は、子どもに多い病気というイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし実際には、最近のデータでは大人でも患者が増えており、家族内・職場内で広がるケースも珍しくありません。
「風邪だと思って様子を見ていたら悪化した」
「のどが痛いだけだから大丈夫と思っていた」
このように、軽く考えて受診が遅れてしまうこともあります。そこでこの記事では、最新の流行状況をふまえながら、症状・治療法・重症のサイン・療養期間の考え方を丁寧に解説します。
溶連菌とはどんな病気?

溶連菌はA群溶血性レンサ球菌という細菌がのどに感染して起こる病気です。突然の高熱やのどの強い痛みを引き起こし、発疹が出ることもあります。
大人と子どものどちらにも起こる感染症で、
- のどの炎症
- 発疹
- 舌の赤い変化(イチゴ舌)
など、特徴的な症状が組み合わさることがあります。細菌による感染症なので、抗生物質(抗菌薬)が治療の基本です。自然に治るのを待つ風邪とは違い、適切な薬が必要になります。
主な症状 ― 風邪とどう違うの?
溶連菌は風邪と似ている部分もありますが、「特徴的なサイン」がいくつかあります。
● 主な症状
- 38〜39℃の急な発熱
- のどの強い痛み(飲み込みがつらい)
- 全身に細かい赤い発疹
- 舌が赤くブツブツする「イチゴ舌」
- だるさ、頭痛、腹痛、吐き気
風邪の場合、発疹が出ることはあまりなく、のどの痛みがここまで強くなることも少ないため、症状の組み合わせで見分けるヒントになります。
なぜ最近話題になっているの?最新データで見る傾向
溶連菌そのものだけでなく、「まれに起こる重症型 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)」の報告がここ数年で増えているため、全国的にも注目される感染症となっています。国立感染症研究所のまとめによれば、
- 2024年の劇症型(STSS)の報告数は過去最多の1900件以上
- 2025年も引き続き高い水準で推移
- のどの溶連菌(咽頭炎)も2023〜2024年にかけて増加傾向
つまり、「昔の病気」ではなく、今まさに注意すべき感染症に位置づけられています。
感染が増えている主な理由としては、
- コロナ対策の緩和で呼吸器感染症全体が戻ってきた
- 広がりやすいタイプの菌の確認
などが挙げられます。
〈わが国における劇症型溶血性レンサ球菌感染症の疫学 国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト〉
■ 重症化するとどうなる?
ほとんどの溶連菌感染症は薬で治りますが、まれに「劇症型溶連菌感染症(STSS)」になることがあります。これは非常にまれですが、進行が速いのが特徴です。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症 STSS が疑われるサイン
- 手足や皮ふが急に腫れて強く痛む
- 元気が急激になくなる
- ふらつき、意識がぼんやりする
「いつもの風邪と違う」「痛みが不自然に強い」
このような異変を感じたら、早めに受診することが大切です。
■ 治療方法 ― どれくらいで治るの?

溶連菌は抗生物質で治療します。風邪薬では治りません。
よく使われる抗生物質💊
- ペニシリン系
- セフェム系
- マクロライド系(アレルギーがある場合など)
回復までの目安
- 熱:1〜3日ほどで下がる
- のどの痛み:数日で軽くなる
- 発疹:1週間ほどで改善
ただし、薬を途中でやめると再発したり、腎炎やリウマチ熱などの合併症を起こすことがあるため、必ず最後まで飲み切ることが大切です。
療養期間 ― いつから学校・仕事に行ける?
溶連菌は学校保健安全法で「出席停止」が指定されています。復帰の目安は次の2つです。
- 抗生物質を開始して24時間以上が経過していること
- 熱が下がり、全身状態が良いこと(元気)
ただし、実際には学校や園によって微妙な基準の違いがあるため、「登校は園・学校と相談しながら」決めるのが現実的で安心です。
大人の場合も同じく、
- 熱がない
- 体調が安定している
- 抗生物質開始から24時間以上
これらを満たしていれば出勤可能とされますが、こちらも職場と相談した方が無理がありません。
こんな症状があれば受診を

-
- 高熱が続く
- のどの痛みが強い
- 発疹が広がってきた
- 舌が赤くブツブツしている
- 子どもが元気がない、食べない
また、
- 手足の腫れと強い痛み
- 倦怠感が急激に強くなる
などは重症型の可能性があるため、すぐに受診してください。
家庭でできる予防
溶連菌は咳・くしゃみ(飛沫)や接触で広がります。以下のような基本対策が効果的です。
-
- 手洗い
- タオルを共有しない
- のどが痛い時はマスク
- 傷は清潔に保つ(細菌が入りやすいため)
特別な予防接種はありませんが、日常の習慣で予防できます。
まとめ
溶連菌感染症は身近な病気ですが、近年は報告数が増えており、子どもだけでなく大人にも広がっています。
- 高熱、のどの痛み、発疹が特徴
- 抗生物質で治るが、飲み切ることが大事
- 療養期間は「抗生物質24時間+元気」が目安
- 復帰は学校・職場と相談しながら
- 気になる症状があれば、早めの受診を!
正しい知識があれば、必要以上に怖がらずに適切に対処できます。家族内で発症した場合も、落ち着いて治療・休養すれば回復できます。当院でも溶連菌の検査を行っています、発熱外来は電話での完全予約制となります。気軽にご相談ください。
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参考記事
引用
葛西よこやま内科・
呼吸器内科クリニック
院長 横山 裕
医院紹介
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