モンテルカストの効果は?喘息治療でどう役立つ?LTRAの働きを解説
モンテルカストは喘息治療でどう役立つ?LTRAの働きをやさしく解説

1. モンテルカストとは?まず知りたい基礎知識

モンテルカストは、喘息やアレルギー性鼻炎に使われる内服薬で、 ロイコトリエン拮抗薬(LTRA)という種類に属します。
喘息治療といえば「吸入薬」を連想する方も多いですが、 モンテルカストは飲むタイプの薬。 吸入薬と比べると手軽で続けやすいという特徴があります。
日本では1日1回の内服でよく、寝る前など生活に合わせた使い方ができます。 子どもでも飲みやすいように、錠剤・チュアブル・細粒などさまざまな剤型があります。
2. ロイコトリエンって何?喘息を悪化させる“炎症スイッチ”

喘息で咳やゼーゼーが悪化するとき、体の中ではロイコトリエンという物質が増えています。 ロイコトリエンは、気道を刺激して以下のような症状を起こします。
- 気管支が急に縮んで息がしにくくなる
- 粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなる
- 鼻水・痰が増える
- 咳のスイッチが入りやすくなる
イメージで言うと、ロイコトリエンは“喘息のスイッチを押してしまう物質”。 このスイッチが入ると、ちょっとした刺激でも咳や息苦しさが起きてしまいます。
3. モンテルカストが働く仕組み(LTRAの作用)
モンテルカストは、ロイコトリエンという炎症を引き起こす物質が、体の中で働くための「受容体」と呼ばれる場所に結びつくのを防ぐ薬です。ロイコトリエンが受容体に結びつくと、気管支が縮んだり、気道の粘膜が腫れたりして喘息の症状が悪化します。
モンテルカストは、この受容体をあらかじめふさいでおくことで、ロイコトリエンの影響を受けないようにします。そのため、ロイコトリエンが体の中に増えても、気道に対する悪い作用が起こりにくくなります。
その結果として、
✅気道の炎症やむくみが落ち着く
✅気管支が縮みにくくなる
✅刺激に過敏に反応しづらくなる(気道過敏性の改善)
✅鼻水や鼻づまりも軽くなることがある
といった効果が期待できます。
4. 喘息症状が改善する理由

モンテルカストを飲むことで、喘息に特有の「炎症」「気道の狭さ」「過敏性」の3つが和らぎます。 臨床研究でも、次のような改善が報告されています。
● 夜間の咳が減る
喘息の方がつらいと感じる夜中・明け方の咳が出にくくなります。
● 日中の息苦しさが軽くなる
運動時や階段の上り下りで息苦しさが改善することがあります。
● 発作薬(SABA)の使用回数が減る
気管支の収縮が抑えられるため、発作薬の出番が少なくなります。
● ピークフロー値が上がる
ピークフロー(日々の肺機能チェック)が改善し、日内変動も小さくなります。
さらに、吸入ステロイド(ICS)と併用することで、 ICS単剤では良くならなかった症状が改善することも多いです。
5. どんな人にモンテルカストが向いている?
モンテルカストは、以下のような患者さんに特に向いています。
- アレルギー体質で咳が長引きやすい人
- 夜間や明け方に咳がひどくなる人
- 運動すると息苦しくなる(運動誘発性喘息)
- アレルギー性鼻炎もあって鼻づまりが続く人
- 吸入薬が苦手・忘れやすい人
- ICSだけでは症状が残る人
- LABAの副作用(動悸など)が気になる人
- アスピリン喘息や肥満を伴う喘息が疑われる人
特に「喘息+アレルギー性鼻炎を併発している方」では、 モンテルカストが両方に作用するため、治療の相性が良いことが多いです。
6. 副作用と安全性について
モンテルカストは比較的安全性の高い薬で、長期的にも広く使われています。 副作用は多くありませんが、以下のような症状が報告されています。
- 頭痛
- 眠気
- 腹痛・胃の不快感
- 下痢
- 軽い発疹
いずれも軽度のことが多く、強い副作用はまれです。 気になる症状があれば自己判断で中止せず、医師に相談してください。
7. まとめ
モンテルカストは、ロイコトリエンの働きを抑えることで気道の炎症やむくみを改善し、喘息症状を落ち着かせる飲み薬です。吸入薬と併用することで治療効果が高まることも多く、夜間の咳、運動での息苦しさ、アレルギー性鼻炎を併発している方にとくに向いています。
吸入ステロイドだけで症状が十分に抑えられないときの“もう一つの選択肢”として、治療の幅を広げてくれる薬ともいえます。
「咳が長引く」「気道が敏感でつらい」「吸入薬だけでは不安がある」──そんなお悩みがある方は、モンテルカストが症状改善につながる可能性があります。
気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。
参考記事
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