貧血の症状、どこからが要注意?放置しないためのポイント
貧血の症状とは?「なんとなく不調」は身体からのサインかもしれません

「最近ずっと疲れやすい」「立ちくらみが増えた」「少し動くだけで息切れする」――。
そんな不調の原因として、貧血やかくれ貧血(鉄不足の予備軍)が隠れていることがあります。 貧血は珍しいものではありませんが、放置すると日常生活のつらさが続いたり、体に負担がかかることもあります。
この記事では、貧血で起こりやすい症状・原因・検査・受診の目安を、一般の方にもわかりやすく解説します。
1. 貧血とはどんな状態?
貧血とは、血液の中のヘモグロビン(Hb:酸素を運ぶ成分)が不足した状態です。 ヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を全身へ届ける役割を担っています。 その量が減ると、体は「酸欠気味」になり、さまざまな不調が起こりやすくなります。
ポイント:貧血=「血が足りない」だけでなく、体の細胞に酸素が届きにくい状態です。
2. 貧血でよくみられる症状

● 全身にあらわれる症状
- なんとなく疲れやすい/だるい(倦怠感)
- 顔色が悪い、青白いと言われる
- 集中力が続かない、ぼーっとする
- 冷えやすい(手足の冷え)
● 心臓・呼吸に関係する症状
- 少し動いただけで息切れする
- 動悸がする(心臓がドキドキする)
- 階段や坂道がつらく感じる
● 頭・感覚の症状
- 立ちくらみ、めまい
- 頭痛
- ふらつき
● 鉄不足(鉄欠乏性貧血)でみられやすいサイン
- 爪が割れやすい、反り返る
- 髪の毛が抜けやすい
- 口内炎ができやすい/舌がヒリヒリする
- 氷を無性に食べたくなる(※一部の方)
症状の出方には個人差があります。「軽い貧血でもつらい」方もいれば、「数値は低いのに自覚症状が少ない」方もいます。 いずれにしても、気になる不調が続く場合は一度検査で確認するのがおすすめです。
3. なぜ貧血でつらい症状が出るの?
私たちの体は、血液中のヘモグロビンが運ぶ酸素を使って、動いたり考えたりしています。
貧血になるとこのヘモグロビンが少なくなり、体の細胞に十分な酸素が届かなくなります。
すると体は酸素不足を補おうとして、心臓を速く動かしたり、呼吸を増やしたりして無理をします。
その結果、動悸・息切れ・疲れやすさが出やすくなります。
また、脳は酸素を多く必要とするため、酸欠気味になるとめまいや立ちくらみ、集中力の低下といった症状が起こることもあります。
貧血の症状は、体が一生懸命がんばっているサイン。早めに原因を確認することが大切です。
4. 貧血の主な原因(鉄不足だけじゃない)
● 鉄欠乏性貧血(最も多いタイプ)
鉄はヘモグロビンの材料です。鉄が不足すると、十分な赤血球が作れず貧血になります。
原因としては、食事からの鉄不足、月経による出血、胃や腸からの慢性的な出血などが考えられます。
● 慢性疾患に伴う貧血
炎症が続く病気や腎臓の病気などが背景にあり、貧血が起こることがあります。
「鉄を飲めば治る」タイプではない場合もあるため、見極めが大切です。
● ビタミン不足(ビタミンB12・葉酸など)
赤血球を作る過程に必要な栄養素が不足すると、貧血を起こすことがあります。
注意:貧血の治療は「原因に合わせる」ことが大前提です。自己判断で鉄剤を始める前に、まず検査で原因を確認しましょう。
5. 「かくれ貧血」ってなに?
厚生労働省の情報でも、貧血は「めまい・立ちくらみ」だけでなく、
倦怠感、頭痛、気力の低下、肌荒れ、爪の変形、むくみ など...
さまざまな不調の原因になりうることが紹介されています。
また、ヘモグロビンを作る材料である鉄が不足すると、 体が酸欠状態になりやすくなる点も説明されています。
かくれ貧血(イメージ):血液検査でヘモグロビンが「まだ大きく下がっていなくても」、 体内の鉄が不足している段階があり、体調不良の背景になっていることがあります。 気になる症状が続く場合は、血液検査で確認しましょう。
仕事や家事、育児などで忙しい時期ほど「気合で乗り切る」になりがちですが、 貧血や鉄不足が関係していると、いくら休んでも回復しにくいことがあります。 気になる方は早めにご相談ください。
6. どんな検査をするの?(血液検査のポイント)

当院では、問診・診察に加えて、血液検査で貧血の有無や原因の手がかりを確認します。 主に以下の項目を見ます:
- Hb(ヘモグロビン):貧血の判断に重要
- 赤血球数・ヘマトクリットなど:貧血のタイプ推定に役立つ
- 鉄・フェリチン:鉄不足(かくれ貧血含む)が疑われるときに重要
- 必要に応じて:炎症反応、腎機能、ビタミンB12・葉酸 など
背景に消化管出血などが疑われる場合は、状況に応じて適切な医療機関へご紹介します。
7. 放置するとどうなる?

「忙しいから」「そのうち良くなるかも」と貧血を放置してしまうと、疲労感や息切れが慢性的に続き、仕事や家事が以前よりつらく感じるようになることがあります。集中力の低下や夕方の強いだるさなど、生活の質(QOL)の低下につながることも少なくありません。
また、体は不足した酸素を補おうとして心臓や呼吸に負担をかけ続けます。そのため、動悸や息切れが悪化し、心臓や肺に持病がある方では注意が必要です。
さらに、貧血の背景に出血や別の病気が隠れている場合、放置することで原因の発見が遅れてしまう可能性もあります。
「たかが貧血」と思わず、気になる症状があれば早めに相談することが大切です。
8. 受診の目安:こんなときは相談を
次のような症状がある場合は、貧血や鉄不足が関係している可能性があります。気になることがあれば、一度内科での相談をおすすめします。
- だるさ・息切れ・動悸が数週間以上続いている
- 立ちくらみやめまいが以前より増えた
- 健康診断で「貧血」「Hb(ヘモグロビン)低値」を指摘された
- 食欲低下、体重減少、黒い便、月経量が多い・長引くなどの症状がある
- はっきりした原因が分からない体調不良が長引いている
「年齢のせいかな」「疲れているだけかも」と思ってしまう症状でも、血液検査を行うことで原因がはっきりし、安心につながることがあります。
症状が軽いうちに確認しておくことで、治療や生活の工夫だけで改善するケースも少なくありません。
受診をご検討の方へ
「貧血かも?」「何科に行けばいいかわからない」という場合も、まずは内科へご相談ください。
症状の背景に別の病気が隠れていないかも含めて確認します。
▶ クリニック公式サイト: 葛西よこやま内科・呼吸器内科クリニック
葛西よこやま内科・
呼吸器内科クリニック
院長 横山 裕
医院紹介
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