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メプチンエアー(喘息・COPD治療薬)

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メプチンエアーはSABAという成分を配合した吸入薬で、喘息とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の患者さんに使用される治療薬です。このページでは呼吸器内科専門医がスピリーバとはどんな薬なのか、薬効、使い方、副作用、注意すべき点などについてまとめて解説します。

メプチンエアーはどんな薬?

メプチンエアーは「短時間作用型β2刺激薬(SABA)」という成分を含む吸入薬です。使い方としては「発作止め」として、主に呼吸が苦しい時に使用することになります。

短時間作用型β2刺激薬 (SABA) :プロカテロール塩酸塩水和物

気管支拡張効果があります。吸入後5分程度で効果発現し、効果持続は6時間程度です。

メプチンエアーの適応症

メプチンエアーはCOPD(慢性気管支炎・肺気腫)・喘息に対し適応がある吸入薬です。

「COPD:慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)」

「喘息」

メプチンエアー投与に注意を要する方

メプチンエアー投与にあたっては投与に注意を要する患者さんがいますので確認しましょう。

甲状腺機能亢進症の患者

甲状腺機能亢進症が増悪することがあります。

高血圧の患者

血圧が上昇することがあります。

心疾患の患者

動悸、不整脈、症状の増悪等があらわれることがあります。

糖尿病の患者

糖尿病が増悪することがあります。

低酸素血症の患者

低酸素血症は血清カリウム値の低下が心リズムに及ぼす作用を増強することがあります。

妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されています。

授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討することとされています。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されています。

小児等

低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していません。

高齢者

減量するなど注意する必要があります。一般に生理機能が低下しているからです。

メプチンエアーの副作用

動悸、手の震え、嘔気・嘔吐などがあります。
 
メプチンエアーの副作用

参考)副作用について(メプチンエアーの添付文書より引用)
メプチンエアーの副作用(添付文書)

メプチンエアーの薬価

メプチンエアー1本あたりの薬価(3割負担)は、318円となります。

・メプチンエアー10μg吸入100回 1061円 3割負担:318円

メプチンエアーの使い方

ガスの圧力で霧状の薬液を吸入しますが、薬の噴射と薬を吸い込むタイミングを同調させる必要があります。詳しく知りたい方は下記吸入指導箋(大塚製薬HPより引用)をご覧ください。

メプチンエアーの吸入手技

①初めて使用する際は空打ちを「2回」行う
②キャップを外し、吸入器をよく振る
④軽く息を吐く
⑤吸入口をくわえる
(吸入口から3-4cm離して吸う方法もあります)
息を吸いながらレバーを押しゆっくり吸い込む
⑦息を3~5秒程度とめる
⑧ゆっくり吐き出す
⑨規定回数④-⑧を繰り返す

メプチンエアー指導箋(引用:大塚製薬HP)

メプチンエアーの使い方

スペーサーを併用する場合

スペーサーとはボンベタイプの吸入薬(pMDI)を行うための補助器具です。小さなお子様(小学生以下)や高齢の方では吸気と薬の噴霧の同調が難しいことがあり、スペーサーを併用して行うことを推奨します。

スペーサー

「押す」「吸う」タイミングが多少ずれても大丈夫

ボンベタイプの吸入を行なう上で難しいのは「押すタイミング(噴霧)」と「吸入のタイミング」を合わせることです。このスペーサーを使用することによりタイミングのズレを解消し確実に吸うことが出来ます。

副作用を減らし、吸入効率を向上させる

pMDI製剤は口腔内に吸入薬を噴射させる際に口の壁やのどの奥に当たった薬剤は気管支に届かず付着し、副作用の原因となることがあります。スペーサーを利用することで口やのどに直接当たるのを防ぎ、吸入効率を向上させることが出来ます。

スペーサー併用イメージ

喘息に対するメプチンエアー

メプチンエアー(SABA)は喘息増悪時の第一選択薬です。増悪時に1回1~2吸入を症状が改善するまで20分おきに3回(1時間)まで繰り返します。1回あたりの作用時間は5時間とも言われており、1時間かけて3回吸った後は5~6時間空けることが無難と思われます。また重度の増悪時に使用する際は、「換気血流不均等」という現象により低酸素が起こることがることに留意が必要です。

メプチンの不適切使用は喘息死のリスク

1960年代と1980年~1990年代における思春期・青年期の喘息死の増加はSABAの不適切使用が原因であった可能性が示唆されています。吸入ステロイド(ICS)を含む定期的を使用し、SABAのみ頻回使用を行うことを避けることが喘息死リスクのにつながると考えられています。

メプチンの使用回数が多くなったら主治医へ相談

メプチンを頻回使用しないといけない状態は、例え吸入ステロイド(ICS)を含む定期治療を行っていたとしても喘息のコントロールが不十分な状態と考えられます。メプチンを毎日複数回使うような状態になったときは、主治医へ早めに相談し、定期治療の変更(Step up)を検討しましょう。

おわりに

メプチンエアーは喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の発作時に使用される吸入薬です。苦しい時に使用し改善するようであれば気管支がせまいことを意味します。呼吸苦が持続するようであれば1時間あたり3回(1回あたり1~2吸入)繰り返し吸入出来ますが、手の震えや動悸などの副作用が出ることがありますので注意しましょう。また成人女性の場合、規定回数である1回2吸入吸うと動悸や手の震えが起こることがあります。1回吸入してみて、様子をみながら追加吸入を行うとよいでしょう。一方、メプチンエアーを繰り返し使用しないといけない状態は、喘息やCOPDのコントロールが不良な状況と考えられます。メプチンエアーだけでしのぐことはせず、早めに主治医に相談し、維持治療薬の見直しを行いましょう。現在、喘息やCOPDと診断されて治療中で、メプチンエアーを含めた発作時治療薬をお持ちでない方は主治医と相談し処方してもらうようにしましょう。

引用文献

(1)喘息診療実践ガイドライン
(2)喘息予防・管理ガイドライン
(3)COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン

参考記事

・気管支喘息(治療)
・気管支喘息はどんな病気?症状・原因・治療法を専門医が解説!

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院長 横山 裕

葛西よこやま内科・
呼吸器内科クリニック

院長 横山 裕

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