高血圧とは?原因・症状・予防法をわかりやすく解説
高血圧は日本人の多くが抱える生活習慣病のひとつです。自覚症状が少ないまま進行するため「サイレントキラー」と呼ばれています。この記事では、高血圧の基礎知識から原因、症状、予防法までをわかりやすく解説します。
1. はじめに
高血圧は日本人にとても多い病気で、40歳以上の約2人に1人が「血圧が高め」といわれています。自覚症状がほとんどないため放置されやすいのですが、進行すると重大な合併症につながる可能性があります。今回は「高血圧とはどんな病気か」「原因は何か」「症状は出るのか」をできるだけ分かりやすく説明します。
2. 高血圧とは?
血圧とは、心臓が血液を全身に送り出すときに血管の内側にかかる圧力のことです。日本高血圧学会の基準では、診察室での測定で収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以上が続く場合を「高血圧」と診断します。
高血圧が続くと、血管に強い圧力がかかり続けるため「動脈硬化」が進行しやすくなります。その結果、脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎不全など命に関わる病気を引き起こすリスクが高まります。
特に怖いのは「症状がないまま進む」点です。症状がないからといって放置せず、健康診断や家庭での血圧測定で早めに気づくことが大切です。
3. 高血圧の原因
高血圧には大きく2つのタイプがあります。
一次性(本態性)高血圧
日本人の高血圧の約9割を占めます。原因が一つに特定できるわけではなく、遺伝的体質と生活習慣の積み重ねが大きく関わります。
- 塩分の摂りすぎ:日本人は塩分摂取量が多く、血圧上昇の最大の要因です。
- 肥満・過体重:体重が増えると心臓や血管に負担がかかります。
- 運動不足:血管の柔軟性が低下し、血圧が上がりやすくなります。
- ストレス・睡眠不足:ホルモンや自律神経の乱れにつながります。
- 加齢:年を重ねると血管の弾力が失われ、血圧が高くなりやすいです。
二次性高血圧
一部の患者さんでは、特定の病気が原因で血圧が上がります。例えば以下のものです。
- 腎臓の病気(慢性腎臓病など)
- ホルモン異常(副腎腫瘍によるホルモン過剰分泌など)
- 薬の副作用(ステロイドなど)
この場合は、原因となる病気を治療することで血圧が改善することがあります。
4. 高血圧の症状
高血圧はしばしば「サイレントキラー」と呼ばれます。これは、自覚症状がほとんどないまま進行し、気づいたときには脳や心臓、腎臓に深刻なダメージを与えていることがあるからです。
ただし、血圧が非常に高くなった場合や長期間続いた場合、以下のような症状が現れることがあります。
- 頭痛:特に朝起きたときに後頭部が重い、ズキズキする。
- めまい・ふらつき:血流が不安定になることで起こります。
- 耳鳴り・耳の圧迫感:血管の影響で耳に違和感を覚えることがあります。
- 動悸・息切れ:心臓に強い負担がかかっているサインかもしれません。
- 視力の異常:視界がかすむ、ものが見えにくい。高血圧性網膜症の可能性もあります。
- 鼻血:毛細血管が破れやすくなり、出血が増えることもあります。
ただし、こうした症状が出ないケースも多いので、「症状がない=高血圧ではない」とは限りません。定期的に血圧を測ることが唯一の確実な確認方法です。
5. 高血圧の予防法
高血圧は生活習慣の工夫で予防・改善できます。
食事の工夫
- 減塩:1日の食塩摂取は6g未満を目標に。加工食品や外食は塩分が多いため注意。
- 野菜や果物を多く:カリウムを多く含む食品(バナナ、ほうれん草など)が血圧を下げる助けになります。
- アルコールを控える:飲みすぎは血圧上昇につながります。
生活習慣の改善
- 適度な運動:ウォーキングや水泳など有酸素運動を週150分程度。
- 体重管理:肥満は血圧を上げる大きな要因。
- 禁煙:喫煙は動脈硬化を進め、心臓病・脳卒中リスクを高めます。
- ストレス対策:睡眠をしっかりとり、リラックスする時間を確保する。
6. まとめ
高血圧は「症状がないから大丈夫」と思っているうちに進行し、脳や心臓、腎臓に大きなダメージを与える病気です。しかし、生活習慣を見直し、早めに医療機関で相談すればコントロール可能です。
当院でも定期的な血圧測定や生活習慣のアドバイスを行っています。気になる方は、どうぞお気軽にご相談ください。