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医療費が高くて不安な方へ|高額療養費制度・多数回該当・付加給付をイラストで解説

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医療費が高くて不安な方へ 高額療養費制度・多数回該当・付加給付をわかりやすく解説
― 重症喘息の生物学的製剤(注射治療)も、現実的な選択肢になる理由 ―

「この注射治療、効果はありそうだけど……
毎月の費用が高そうで、本当に続けられるのか不安」

医療費は、病気や治療内容によっては想像以上に高額になることがあります。 特に入院や手術、長期治療、そして新しい治療薬では、月の医療費が大きくなるケースも珍しくありません。

そのため、

  • 「治療が必要と言われたけれど費用が心配」
  • 「途中で続けられなくなったらどうしよう」
  • 「高い治療は自分には難しいのでは?」

と、不安に感じる方は少なくありません。

しかし日本には、医療費が高くなりすぎないようにする制度がいくつもあります。 これらを正しく理解し、順番に活用することで、高額に見える治療でも実際の自己負担は大きく変わる可能性があります。

この記事では、医療費が高くなったときに使える制度を整理し、 「どの制度がどの順番で関係するのか」と「実際の負担の目安」を、 初めての方にも分かりやすく解説します。

重症喘息の治療でも、医療費が高くなることがあります

重症喘息の治療として提案される生物学的製剤(注射治療)について、 このように感じている方は決して少なくありません。

生物学的製剤は薬剤費が高額で、 月の医療費が数十万円になることもあります。

しかし日本には、医療費が高くなりすぎないようにするための制度がいくつも用意されています。 これらを正しく理解し、順番に使うことで、 高額な注射治療でも実際の自己負担は大きく変わる可能性があります。

医療費が高くなったとき、使える制度は「いくつも」あります

治療費が高くなりやすい治療について調べていると、

      • 高額療養費制度
      • 多数回該当
      • 付加給付制度
      • 医療費控除

と、さまざまな制度の名前を目にします。

その結果、 「結局、どれが自分に関係あるの?」 「何をどう使えばいいの?」 と混乱してしまう方も少なくありません。

これらの制度はバラバラではなく、段階的に重なって使われる仕組みです。

すべての基本になる「高額療養費制度」

最初に必ず知っておいてほしいのが高額療養費制度です。

これは簡単に言うと、 1か月の医療費について、自己負担の上限を決めてくれる制度です。

医療費は「使った分だけすべて自己負担」と思われがちですが、 実際には年齢や収入に応じて 「ここまでしか払わなくていいですよ」 という上限額が決められています。

そのため、生物学的製剤のように医療費が何十万円に達する治療でも、 自己負担は一定額で止まる仕組みになっています。

この「上限がある」という事実を知るだけでも、 費用への不安はかなり小さくなります。

※ 本記事に記載している自己負担額は、2026年2月時点の制度に基づく目安です。
今後の制度改正・診療報酬改定などにより変更される可能性があります。最新情報は、医療機関または保険者へご確認ください。

高額療養費制度と限度額適用の違い

医療費が高くなったときに関係する制度には、高額療養費制度限度額適用があります。
違いはとてもシンプルで、「あとから戻る」「最初から上限で払う」です。

■ 高額療養費制度(あとから戻る)

  • いったん窓口で通常どおり支払う
  • 上限を超えた分が後日払い戻し
  • 申請が必要になる場合あり

■ 限度額適用(最初から上限)

  • 窓口支払いが最初から上限まで
  • 高額な立て替えが不要
  • 入院や高額外来で便利

マイナ保険証なら自動で反映

現在は、マイナ保険証を提示し「限度額情報の取得」に同意すると、
窓口支払いが自動で上限までに調整されます。

事前に認定証を申請したり、高額を立て替えたりする必要がないため、手続きも支払いもシンプルになります。

治療が続く人ほど助かる「多数回該当」

生物学的製剤の治療は、1回で終わるものではなく、 数か月、数年と続く治療になることが多いですよね。

そこで重要になるのが多数回該当です。

高額療養費制度を12か月以内に3回利用すると、 4回目からは自己負担の上限がさらに引き下げられます

最初の数回は上限いっぱいまで支払うことがあっても、 治療を続けることで上限そのものが下がる仕組みです。

「長く続けるほど負担が増える」のではなく、 続ける人ほど負担が軽くなるように考えられた制度です。

会社員の方は要チェック「付加給付制度」

会社員の方にぜひ知っておいてほしいのが付加給付制度です。

これは国の制度ではなく、 健康保険組合や共済組合が独自に設けている制度です。高額療養費制度などで決まった自己負担額を、 さらに引き下げてくれるのが特徴です。

        • 自己負担は月3万円まで
        • 2万5千円まで

      など、内容は保険者ごとに異なります。

      なお、協会けんぽや国民健康保険には付加給付制度はありません。会社員の方は、一度「自分の会社の健康保険」を確認してみる価値があります。

      あとから戻ってくる「医療費控除」

      ここまで紹介した制度は「その月の支払いを減らす制度」でした。

      一方、医療費控除はあとからお金が戻る制度です。

      1年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、 確定申告をすることで所得税・住民税の一部が還付されます。

      年間を通して医療費がかかる治療では、 1年単位で見るとさらに負担が軽くなるケースもあります。

      では実際に、自己負担が10万円だったらどうなる?

      ここまで、医療費が高くなったときに使える制度について説明してきました。 では実際に、重症喘息の生物学的製剤などで 窓口での自己負担額が10万円になった場合、 制度を使うと負担はどのように変わるのでしょうか。

      例として、70歳未満・所得区分ウ(年収 約370万~770万円)の方を想定します。

      ① 最初に見える金額

      • 窓口での自己負担:10万円

      この時点では「毎月10万円もかかるの?」と不安になるかもしれません。

      ② 高額療養費制度

      区分ウの場合、自己負担の上限は 80,100円です。

      つまり、10万円すべてを払う必要はなく、上限までに調整されます。

       

      ▶ 実際の自己負担:80,100円(年収約370万円~約770万円 標報28万円以上/課税所得145万円以上 80,100円+(医療費-267,000)×1%)

      ③ 多数回該当

      この状態が続き、12か月以内に3回高額療養費制度を利用すると、 4回目以降は上限がさらに引き下げられます。

      ▶ 自己負担の上限:約44,000円

      ④ 付加給付制度(会社員の方)

      健康保険組合などに加入している場合、 付加給付制度により自己負担がさらに軽減されることがあります。

      ▶ 自己負担の目安:月3万円程度まで

      ※ 協会けんぽ・国民健康保険には付加給付制度はありません

      ⑤ 医療費控除

      年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合、 確定申告をすることで所得税・住民税の一部が還付されます。

      つまり、その年に支払った医療費の一部が、 あとから戻ってくる可能性があります

      ※ 医療費控除は「その月の支払いを減らす制度」ではなく、 あとから税金が戻る制度です

      ▶ 最終的な実質負担のイメージ

      約1万円台/月になる可能性もあります

      高額療養費・多数回該当・付加給付・医療費控除を 組み合わせた場合の一例です。

      ※ 金額は一例です。年齢・収入区分・加入保険により実際の負担は異なります。

      当院では、治療費のシミュレーションも行っています

       

    • 医療費の制度は複雑で、 「自分の場合はいくらになるのか」が分かりにくいと感じる方も多いと思います。

      当院では、上記のような高額療養費シミュレーターを用いて、 年齢・収入区分・加入保険・治療内容などを確認しながら、 お一人おひとりに合わせた自己負担額の目安を具体的にご説明しています。

      「この治療を始めたら毎月いくらになるのか」
      「自分の保険だと付加給付はあるのか」
      「実際に続けられる金額なのか」

      こうした不安をできるだけ数字で整理し、 納得して治療を選択できるようサポートしています。

      費用面が心配で治療を迷っている方も、 どうぞお気軽にご相談ください。

      まとめ:費用の不安で治療をあきらめないでください

      • 生物学的製剤は、制度を知らないと「とても高い治療」に感じやすい
      • 高額療養費制度を基本に、段階的に自己負担が軽くなる仕組みがある
      • 多数回該当や付加給付制度によって、長期治療でも続けやすくなる場合がある
      • 医療費控除を含めて考えると、実質的な負担はさらに変わることがある

      生物学的製剤は、「効果が高い一方で、費用が心配になりやすい治療」です。

      しかし、日本の医療制度は、
      高額な治療を必要とする人が、無理なく治療を続けられるように
      いくつもの仕組みを重ねて用意しています。

      大切なのは、「最初に見える金額」だけで判断してしまわないことです。

      費用の不安だけで、本来受けられる重症喘息の治療をあきらめてしまう前に、
      「自分に使える制度があるか」一度立ち止まって整理してみることをおすすめします。

      気になることがあれば、治療内容だけでなく費用面も含めて、どうぞ医療機関でお気軽にご相談ください。

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院長 横山 裕

葛西よこやま内科・
呼吸器内科クリニック

院長 横山 裕

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