TOPへ

新着記事

喋ると咳が出るのはなぜ?考えられる原因と対処法

新着記事 喘息 呼吸器内科

会話中に咳が出るのはなぜ?原因・検査・治療をやさしく解説

はじめに

「電話で話すと咳が出てしまう」「会議で話していると咳き込んで止まらない」――そんな経験はありませんか?

会話中に出る咳は、相手に心配をかけるだけでなく、自分にとっても大きな負担になります。咳は体を守る反応ですが、のどが敏感だとちょっとした刺激でも咳が出てしまうことがあります。

会話中に出る咳とは?

会話中に出る咳は、「風邪」や「のどの乾燥」だけが原因ではありません。

実際には、

  • のどがイガイガする
  • 少しの刺激で咳が出る

と感じる人が多いです。

そのきっかけになるのは、香水・冷たい空気・笑うこと・長時間の会話など、どこにでもあるものです。

研究では、こうした咳は中高年の女性に多いと分かっています。原因の一つは「咳の神経が敏感になっていること」。つまり、会話中に出る咳は「長引く咳(慢性の咳)」のサインかもしれません。

会話中に咳が出る主な原因

  • ✅声を出すこと
    声帯が震え、空気が強く流れるだけでのどが刺激され、咳につながることがあります。
  • ✅のどの乾燥・冷たい空気
    長く話すと乾燥し、冷たい空気でも咳が出やすくなります。喘息体質の人は特に敏感です。
  • ✅胃酸の逆流
    話すときにお腹に力が入り、胃酸がのどまで逆流して刺激になることがあります(逆流性食道炎・咽喉頭逆流)。
  • ✅気道が敏感になっている
    喘息・咳喘息、風邪のあとなどは気道が過敏になり、わずかな刺激でも咳が出ます。
  • ✅咳の神経が敏感(CHS)
    本来なら咳が出ない刺激(冷気や香水、会話など)でも咳が出てしまう状態。「のどがムズムズして咳が出そう」という前触れが特徴です。

関係する病気と治療法

会話中に咳が出るとき、その背景にはいくつかの病気が隠れていることがあります。

代表的なものと、その特徴・治療法をまとめると次のようになります。

病気 特徴 主な治療
気管支喘息 咳・痰・ゼーゼー・息苦しさ 吸入薬(ステロイド+気管支拡張薬 など)
咳喘息 咳だけ続く(ゼーゼーなし) 吸入薬(ステロイド+気管支拡張薬 など)
アトピー咳嗽 アレルギー体質に多い・のどの違和感 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬など)
季節性喉頭アレルギー 花粉などで喉が炎症・後鼻漏を伴いやすい 抗アレルギー薬
逆流性食道炎・咽喉頭逆流症 胃酸逆流で咳・胸やけ 胃薬(PPIなど)・胃腸薬
風邪のあと(感冒後咳嗽) 風邪が治っても咳だけ長引く 咳止めなどの対症療法
難治性慢性咳嗽(CHS関連) 他の治療が効かない咳 新しい薬(P2X3拮抗薬など)を検討

どんな検査をする?

会話中に咳が出る原因を調べるためには、いくつかの検査が役立ちます。まずは問診や診察で大まかな原因を絞り込み、そのうえで必要に応じて検査を行います。

    • 胸のレントゲン:肺炎・肺がん・結核などを除外
    • 呼気NO検査:喘息や咳喘息の炎症をチェック
    • 呼吸機能検査:気管支の働き・狭さを調べる
    • アレルギー検査:アトピー体質かどうか確認
    • 副鼻腔や胃の検査:症状に応じて追加

🏠 自宅でできるケア・予防のポイント

会話中に咳が出るときは、のどの神経が敏感になっていることが多く、少しの刺激でも咳反射が起きやすくなっています。薬による治療とあわせて、日常生活の工夫によって症状を軽くできる場合もあります。

以下のようなポイントを意識してみましょう。

💧 加湿器やマスクでのどの乾燥を防ぐ

乾燥した空気は咳の大敵です。室内の湿度を50〜60%に保つようにし、マスクでのどの潤いを守りましょう。寝室では枕元に加湿器や濡れタオルを置くのも効果的です。

温かい飲み物やのど飴で保湿

温かい飲み物(白湯・ハーブティーなど)はのどを潤し、咳をやわらげます。メントール系やハチミツ入りののど飴もおすすめです。

🚭 タバコ・香水・強いにおいを避ける

煙・香水・スプレーなどは気道の神経を刺激して咳を誘発します。禁煙はもちろん、柔軟剤やアロマの強い香りも控えましょう。

💤 枕を少し高くして寝る(逆流予防)

寝ると胃酸が逆流しやすくなるため、枕や背中を少し高くして寝ると咳を減らせます。寝る直前の食事や飲酒も控えましょう。

🌿 ストレスや睡眠不足をためない

自律神経のバランスが乱れると、のどの神経が過敏になりやすくなります。リラックスできる時間を持ち、十分な睡眠をとることが大切です。

👩‍⚕️ 長引くときは呼吸器内科へ

2〜3週間以上続く咳は、喘息やアレルギー、逆流性食道炎などのサインかもしれません。専門的な検査で原因を調べることで、適切な治療につながります。

まとめ

  • 【☆当院Instagramより】
  •  
  • 会話中の咳は、風邪や乾燥だけでなく、喘息・逆流性食道炎・アレルギー・CHSなどが関係していることがあります。「話すと咳が止まらない」「咳が長引いている」といった症状は、慢性の咳のサインかもしれません。検査によって原因を特定できれば、治療によって改善できる可能性が高いです。

会話で咳が止まらない、仕事や生活に支障がある――そんなときは、早めに呼吸器内科へご相談ください。当院でも検査は可能です、お気軽にご相談ください♩

参考記事

引用

1.Morice AH, Eur Respir J. 2020 Jan 2;55(1):1901136
2.新実 彰男,日本内科学会雑誌, 2016, 105 巻, 9 号, p. 1565-1577
3.Patel DA,Gastroenterol Hepatol (N Y). 2018 Sep;14(9):512-520
4.井上 博雅, 日本内科学会雑誌, 2006, 95 巻, 8 号, p. 1431-1436
5.Khan D, J Community Hosp Intern Med Perspect. 2024 Nov 2;14(6):75-81
6.Sundar KM, ERJ Open Res. 2021 Mar 29;7(1):00793-2020. doi: 10.1183/23120541.00793-2020
7.Morice AH, et al, Lung 189 : 73―79, 2011.
8.大倉 徳幸, 日本内科学会雑誌, 2020, 109 巻, 10 号, p. 2137-2141, 

24時間WEB予約

院長 横山 裕

葛西よこやま内科・
呼吸器内科クリニック

院長 横山 裕

資格・所属学会