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デュピクセント(デュピルマブ)【喘息治療薬】

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デュピクセント作用機序


デュピクセント(デュピルマブ)は主に重症喘息患者さんに使用される「生物学的製剤」と呼ばれる注射薬です。このページでは呼吸器内科専門医がデュピクセントがどんな薬なのか、薬効、使い方、副作用、費用などについてまとめて解説します。

デュピクセントはどんな薬?

デュピクセントは、喘息の原因となるアレルギー炎症物質である「IL-4」と「IL-13」をブロックする抗IL4/13受容体モノクローナル抗体という薬で、「生物学的製剤」の1つです。主に、重症喘息患者さんに使用される薬です。

デュピクセントペン300mg

生物学的製剤ってどんな薬?

✅生物学的製剤とは喘息増悪の原因となる分子だけを標的として抑える抗体製剤のこと。

✅標的以外への影響が及びにくいため、全身ステロイドのような副作用が少ないことが特徴。

生物学的製剤の作用機序

 

どんな患者さんが対象?

吸入薬や内服薬など、既存の治療を用いても十分なコントロールが出来ず、時に全身ステロイド投与を必要とするような喘息のことを「重症喘息」あるいは「難治性喘息」といいます。デュピクセントはこういった喘息患者さんに対し使用される薬です。

・重症喘息とは

生物学的製剤とは何か?

バイオマーカーとデュピクセント

喘息のガイドラインでは、喘息のアレルギーのタイプである「バイオマーカー」によって推奨される生物学的製剤を変えるべきだとしています。デュピクセントは「自然免疫」を表す「呼気NO(FeNO)」や「好酸球」が高値である場合に奏功しやすいことが分かっています。このことから当院ではFeNOが25ppb以上好酸球数が150cell/µL以上の方に対しデュピクセントを投与します。一方で好酸球が低値(<150cell/µL)であったり、呼気NO(FeNO)が低値(<25ppb)である場合や、好酸球数が1500cell/µL以上である場合には臨床試験でのエビデンスが不十分であり、推奨していません

デュピクセントとバイオマーカーの関係

併存症とデュピクセント

デュピクセントの適応疾患は以下の通りです。

✅アトピー性皮膚炎
✅好酸球性副鼻腔炎(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)
✅特発性の慢性蕁麻疹
✅結節性痒疹
✅慢性閉塞性肺疾患(COPD)

重症喘息にこれらの疾患を併存している場合にはデュピクセントの良い適応と言えるでしょう。

期待される効果は?

重症喘息患者さんに対しデュピクセントを投与することにより、「喘息増悪率の軽減」「もともと内服されている全身ステロイドの減量効果」「呼吸機能の改善効果」が期待されます。そして長期的にも安全性が確認され、有効性が維持されることが分かっています。

重症喘息に対するデュピクセントのエビデンス

デュピクセントの作用機序

デュピクセントはIL-4,IL-13というアレルギーを引き起こす炎症性物質(サイトカイン)をブロックする薬です。IL4とIL-13は主に「2型自然リンパ球(ILC-2)」と「ヘルパー2型T細胞(Th2細胞)」から産生されます。2型自然リンパ球は自然免疫にかかわる中心的な細胞です。自然免疫は生まれつき体に備わっており、外敵によらず、アレルゲンが侵入してくるとすぐに反応することが出来る免疫の仕組みです。一方、ヘルパー2型細胞(Th2細胞)は外敵が侵入してきた際、樹状細胞からの抗原提示を受け、抗体を産生し外敵を駆除する「液性免疫」に関与します。IL-4とIL-13をブロックすることで、「自然免疫」「液性免疫」を含め、幅広いアレルギーに関与する仕組みを抑制することにより、喘息を改善させることが出来るのです。

デュピクセント作用機序

投与方法は?

デュピクセントは皮下注射で投与します。初回は医療機関で実施し、その後2週間毎に医療機関もしくは自己注射によって、自宅で注射を続けていきます。

✅初回:300mgを2本接種します

✅2回目以降:300mgを2週間に1本ずつ接種します

デュピクセントは初回2本、2週間目以降は1本ずつ投与します

副作用は?

副作用としては皮下注射による局所の副作用とそれ以外の症状がありますが、多くは局所の副作用です。注射部位の発赤や腫れ、痛みなどが多くは注射後1~2日以内に収まります。好酸球数が増加することがあり、もともとの好酸球数が1500個/µLを超えている場合には投与を見合わせた方が良いでしょう。

デュピクセントの副作用には局所の副作用と全身の副作用があります。

費用は?

✅デュピクセント皮下注300mgペン:53659円/1本
✅デュピクセント皮下注300mgシリンジ:53493円/1本

・デュピクセントペンは自己注射を行うことができるため複数本処方することができます。
・所得区分により「高額療養費制度」を利用することで自己負担金額を抑えることが出来る場合があります。
(今後、高額療養費制度は厚生労働省の方針により金額の修正が行われる予定となっています。)
・「医療費控除(確定申告)」を行うことで、総医療費-10万円分について所得税・住民税分が還付されます。
・所属する保険組合により、「付加給付制度」を利用することで一定金額以上の自己負担額が減免されます。
・指定難病は「好酸球性副鼻腔炎」に対する指定難病をお持ちの患者さんが対象となります。
・当院では「高額療養費計算アプリケーション」を開発し、運用しております。
・医療費の自己負担金額をシミュレーションし、患者さんにお伝えすることが出来ます。

医療費の自己負担金額シミュレーションの例

アプリに「所得区分」「年齢」「課税所得」「現在の治療内容」「生物学的製剤」を入力することで、実際にかかる医療費の自己負担金額を算出することが出来ます。

まとめ

重症喘息とは、最大限の既存治療を行っているにも関わらず、全身ステロイド内服が必要な増悪を起こす患者さんです。そのような患者さんに対し、生物学的製剤を投与することで、喘息症状が改善し、喘息による日常生活への影響が改善し、喘息増悪が長期的に予防出来ます。一方で、生物学的製剤は高額であり、医療費について納得した上で治療をするかどうかを決める必要があります。利用できる医療費制度(高額療養費、付加給付、医療費控除)を十分に理解した上で、医療者とともに最適な治療法を検討しましょう。
デュピクセントはIL-4とIL-13をブロックすることで、「自然免疫」「液性免疫」を含め、幅広いアレルギーに関与する仕組みを抑制することにより、喘息を改善させることが出来る生物学的製剤です。特に併存症としてアトピー性皮膚炎や好酸球性副鼻腔炎(鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎)がある重症喘息患者におすすめ出来る生物学的製剤と言えるでしょう。

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院長 横山 裕

葛西よこやま内科・
呼吸器内科クリニック

院長 横山 裕

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