「いびきが大きい」「昼間に強い眠気がある」「家族に“息が止まっていた”と言われた」――これは 睡眠時無呼吸症候群(OSAS) のサインかもしれません。OSASは睡眠中に呼吸が繰り返し止まり、日常生活の質(QOL)を下げるだけでなく、高血圧・心筋梗塞・脳卒中などのリスクを高めることが知られています。本記事では、CPAPとは何か、なぜ起こるのか、どんな症状・治療があるのかをわかりやすく解説します。
CPAPとは?
CPAP(シーパップ)療法 は、睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の代表的な治療法です。専用の機械から鼻に空気を送り込み、圧で気道を広げることで、睡眠中の無呼吸や低呼吸を防ぎます。
日本ではもっとも広く行われており、効果が科学的に証明されているため 保険適応 があります。「日中の眠気改善」「交通事故リスクの低下」「高血圧や脳・心臓の病気の予防」など、健康全般に良い効果が期待できる第一選択の治療法です。
なぜ起こる?(原因)

OSAS(睡眠時無呼吸症候群) は、眠っている間に喉の奥(上気道)が狭くなり、空気の通り道がふさがることで起こります。呼吸が弱くなったり止まると体は酸素不足に陥り、そのたびに脳が覚醒を繰り返すため、睡眠が細切れになります。
その結果、夜間の いびき・無呼吸・あえぎ呼吸 だけでなく、翌日の 強い眠気・集中力低下・疲労感 につながり、長期的には高血圧や心疾患のリスクも高まります。
時間帯ごとの症状
症状を「寝ている時」「起きた時」「起きている時」に分けると把握しやすくなります。
| 時間帯 | 主な症状 | 解説 |
|---|---|---|
| 寝ている時 |
大きないびき/呼吸停止・あえぎ/夜間頻尿/寝汗 |
いびきが途中で止まり再開する/同室者に「息が止まっていた」と指摘/ホルモン変動で夜トイレが近い/交感神経の過活動で寝汗 |
| 起きた時 | 口の渇き/朝の頭痛/熟睡感がない | 口呼吸による乾燥/低酸素や血圧変動で頭痛/夜間覚醒が多く深い睡眠がとれない |
| 起きている時 | 強い眠気/倦怠感・疲労感/集中力・記憶力の低下 | 会議・運転中に眠気/一日中だるい/判断力や記憶力が落ちる |
※複数当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。
ESS・BMIでセルフチェック
ESS(Epworth Sleepiness Scale) は、日中の眠気を点数化するための質問票です。8つのシチュエーションについて「どのくらい眠くなりやすいか」を0〜3点で答え、合計点を算出します。
合計が11点以上なら、睡眠時無呼吸症候群(OSAS)や過眠症などの可能性が高いとされます。
また、BMI(体格指数)=体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m) で肥満度を表します。25以上は肥満に分類され、睡眠時無呼吸のもっとも重要な危険因子の一つと考えられています。
治療は?(詳しく)
睡眠時無呼吸症候群の治療は、大きく 4つの柱 に分けられます。
「CPAP療法」が第一選択となりますが、症状の程度や生活スタイルに応じて、マウスピース・外科的治療・生活習慣改善も選択肢になります。
1. CPAP(シーパップ)療法:第一選択

- 仕組み:鼻から気道に空気を送り、圧で気道を広げて無呼吸を防止
- 適応:簡易検査でAHI≥40、または精密検査(PSG)でAHI≥20+症状がある場合に保険適応
- 費用目安:3割負担で月4,500円前後(レンタル・管理含む)
- 通院:当院は遠隔モニタリング対応。安定後は2〜3か月ごとの受診でOK
- 快適性:全機種に加湿器を導入。乾燥・鼻づまり対策に有効
2. 口腔内装置(マウスピース)

- 仕組み:下顎を前に出して舌根沈下を防ぎ、気道を広げる
- 適応:軽症〜中等症、またはCPAPが合わない場合
- 特徴:携帯性が高く、旅行・出張時にも使いやすい/歯科で作成(保険適応あり)
- 注意:歯や顎関節への負担がありうるため定期調整が必要
3. 外科的治療
- 適応:扁桃腺肥大、鼻中隔湾曲症、アデノイド肥大など解剖学的狭窄が明確な場合
- 例:扁桃摘出術/鼻中隔矯正術/軟口蓋形成術(UPPP)など
- 補足:まずはCPAPまたはマウスピースを試み、難治・不適合例で検討
4. 生活習慣の改善(補助療法)
- 減量:体重5〜10%の減少で症状が改善するケース
- 禁酒:就寝前のアルコールは上気道筋の緊張を下げ、無呼吸を助長
- 睡眠姿勢:仰向けより横向きの方が無呼吸が減るタイプあり
- 鼻の治療:アレルギー性鼻炎や鼻閉の改善でCPAPの快適性が向上
CPAP治療で期待できる効果

- 日中の眠気改善:平均3時間以上の使用でQOL向上
- 交通事故リスク低下:集中力・判断力が改善
- 脳心血管疾患の予防:無治療に比べ心筋梗塞・脳卒中のリスク低減
- 高血圧など生活習慣病の改善:血圧低下・動脈硬化進展の抑制が期待
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治療には複数の選択肢がありますが、まずは正確な診断を受けることが大切です。自分に合った方法を一緒に探していきましょう。
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- 【当院Instagramより】
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睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は「いびき・無呼吸・日中の眠気」が代表的な症状で、放置すると高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めます。治療は主に CPAP療法 を中心に、マウスピースや外科的治療、生活習慣改善などがあり、症状や体質に合わせて選択されます。まずは ESS・BMIのセルフチェック を行い、気になる場合は早めに医療機関へご相談ください。
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