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熱はないのに乾いた咳が続く…原因と受診の目安

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熱はないのに乾いた咳が続くのはなぜ?原因と受診の目安

 

「熱はないのに咳だけが続く」「風邪は治ったのに、なぜか咳が止まらない」。そんな悩みを感じている人は少なくありません。発熱を伴わない“乾いた咳(空咳)”の背景には、いくつかの原因が潜んでいることがあります。

夜や朝方に咳が強くなる、冷たい空気で咳き込みやすいといった症状があるなら、呼吸器の炎症やアレルギーが関係しているかもしれません。ここでは、熱がないのに咳が続くときに考えられる原因と、受診の目安についてまとめます。

1. 乾いた咳とは?

乾いた咳(乾性咳嗽)は、痰がほとんど出ず「コンコン」とした空咳が続く状態を指します。喉や気管支の粘膜が炎症や刺激で敏感になり、ほこりや温度差、乾燥などでも咳が出やすくなるのが特徴です。


風邪の治りかけなどで一時的に出ることもありますが、2〜3週間以上続く場合は別の原因を考える必要があります。たとえば、気道の炎症が長引く「咳喘息」や、鼻水が喉に垂れて刺激になる「後鼻漏」、胃酸の逆流が関係している「胃食道逆流症(GERD)」などです。
咳が続くことで喉の粘膜がさらに荒れ、刺激が増してしまう悪循環に陥ることもあります。咳の質や出る時間帯に注目してみましょう。夜や朝方に強くなるなら、咳喘息の可能性もあります。

2. 熱がないのに咳が続く主な原因

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  • 咳喘息:ゼーゼー音はなくても夜や明け方に咳が強くなるのが特徴。放っておくと本格的な喘息に進むことも。
  • 後鼻漏(こうびろう):鼻水が喉に垂れて刺激し、咳が出るタイプ。鼻づまりや花粉症がある人に多い。
  • アレルギー性鼻炎・ハウスダスト:ダニやほこり、花粉などで気道が反応し、咳が出やすくなる。
  • 胃食道逆流症(GERD):胃酸が喉まで逆流して咳を誘発。寝ているときや食後に出やすい。
  • 薬の副作用:高血圧の薬(ACE阻害薬)などで乾いた咳が出ることがある。薬の変更で改善するケースも。

これらの原因はいずれも、熱を伴わないまま咳だけが続くケースによく見られます。

3. 放っておくとどうなる?

長引く咳をそのままにしておくと、気道の炎症が慢性化します。炎症が続くことで気管支が過敏になり、少しの刺激(冷たい空気や会話など)でも咳が止まらなくなることがあります。これが「咳喘息」や「慢性気管支炎」への移行につながります。
また、咳のしすぎで胸の筋肉や肋骨に痛みが出ることも。ひどい場合には肋骨にヒビが入ることもあります。睡眠中に咳が続くと眠りの質が悪くなり、日中の集中力低下や疲労にもつながります。

「たかが咳」と思わず、2〜3週間以上続く場合は早めに呼吸器専門医の診察を受けるのが安心です。

4. 自宅でできるケア

長引く咳をやわらげるには、まず生活環境を整えることが大切。乾燥や温度差、刺激物を減らすだけでも落ち着くことがあります。

 

  • 室内の湿度と温度

    湿度は50〜60%が目安。加湿器がなくても濡れタオルを干すだけでOK。冷暖房期は特に乾燥に注意。
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  • 喉を守る

    マスクで保湿。就寝時の使用で夜間の咳が出にくく。温かい飲み物やのど飴で潤いをキープ。冷たい飲み物やアルコールは刺激になることも。
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  • 刺激を避ける

    たばこ、香水、お香、スプレーは気道刺激。掃除時はマスク着用、布団やカーペットのダニ・ほこり対策も。
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  • 体を温めてリラックス

    ぬるめの入浴で血流アップ、咳が落ち着くことあり。枕を少し高くして寝ると呼吸がラク。深呼吸やストレッチも◎。
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  • 睡眠と休養

    就寝前は喉を温め、スマホ・PCを控えめに。しっかり休むことが回復の近道。
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生活の工夫を続けても改善しない場合は、早めの受診を。長引く咳の陰に治療が必要な病気が隠れていることがあります。咳の原因を正確に見極めるには、自己判断ではなく医師による診察が欠かせません。原因がわかれば、症状を抑えるだけでなく、再発を防ぐ治療につなげることができます。

5. 受診の目安と当院での検査

次のようなときは、呼吸器内科の受診を検討してください。

    • 咳が3週間以上続く
  • 夜や朝方に咳が強くなる
  • 息苦しさやゼーゼー音がある
  • 喉の違和感で眠れない
  • 以前より咳の回数が増えている

当院では、原因を見極めるために以下の検査を行います。

  • 呼気NO検査(FeNO):気道の炎症を数値で測定
  • スパイロメトリー(肺機能検査):喘息やCOPDの有無をチェック
  • 胸部レントゲン検査:肺炎や腫瘍の有無を確認

▶ 呼気NO検査(FeNO)について

6. まとめ

熱がない咳が続くとき、原因はひとつではありません。アレルギー、炎症、胃酸の逆流、環境要因などが複合していることも。
「風邪ではなさそう」「咳だけが長引く」—そんなときは、早めに呼吸器専門医に相談を。原因を正しく知れば、きちんと治せます。

当院では、専門医が丁寧に診察し、最新機器を使った検査で原因を見極めます。咳が続くときは、一人で悩まずご相談ください。

 

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院長 横山 裕

葛西よこやま内科・
呼吸器内科クリニック

院長 横山 裕

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