アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは

アトピー性皮膚炎はかゆみのある湿疹が良くなったり、悪くなったりを繰り返す病気です。皮膚の角層の異常が原因で起こる皮膚の乾燥とバリアー機能異常が原因と考えられており、多くはアトピー素因を持っていると考えられています。

アトピー素因とは

  1. 家族もしくはご自身が、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎にかかったことがある
  2. アレルギーの原因となるIgE抗体を作りやすい

アトピー性皮膚炎の診断

以下の3つを満たすものをアトピー性皮膚炎と診断します。痒みを伴う湿疹に加え、年齢毎に異なる部位に、左右対称性の湿疹が6か月以上続くことが特徴です。

  1. 掻痒(痒みで搔いてしまう皮疹)
  2. 特徴的皮疹と分布
    左右対称性の湿疹であり、年齢により分布が異なる
    ・乳児期:頭、顔にはじまり、体幹、四肢に下降
    ・幼小児期:頚部、四肢関節部
    ・思春期・成人期:上半身(頭、頚、胸、背)
  3. 慢性・反復性の経過(しばしば新旧の皮疹が混在する)
    ・乳児では2か月以上、その他では6か月以上を慢性とする

アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018より引用し作成

発症・悪化因子

アトピー性皮膚炎の発症・悪化要因は年齢、環境により異なります。例えば、石鹸や洗剤による刺激が強い場合には使用を最小限にとどめる、低刺激性のものを選ぶなどの工夫を行うなどが挙げられます。また原因となる食物があれば避ける、掻いて傷つけないように爪を切るなどの対策も重要です。

アトピー性皮膚炎の発症・悪化因子

  • 食物(卵・牛乳・小麦など)
  • 乾燥
  • 掻破(かいて傷つけること)
  • 物理化学的刺激(石鹸、洗剤、衣服のこすれなど)
  • ダニ、ほこり、ペットなど
  • ストレス
  • 細菌、真菌(カビ)

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎の治療は外用薬が中心となります。ステロイド外用薬、プロトピック軟膏、コレクチム軟膏、保湿剤、抗ヒスタミン薬(内服)を中心に見ていきましょう。

ステロイド外用薬

ステロイド外用薬は治療の基本となる薬剤です。塗る場所や炎症の強さにより薬剤を使い分けること、炎症を抑えることが出来る十分量を塗ることが大切です。

当院でよく処方するステロイド外用薬

適切な塗布量

大人の第2指の先端から第1 関節まで押し出された量(約0.5 g)をFinger Tip Unit(FTU)といい、手の平2枚分(成人の体表面積の2%)に塗る適量であると言われています。

プロトピック(タクロリムス)軟膏

プロトピックは免疫抑制効果がある軟膏です。顔や頚部など、比較的軟膏の吸収が良い部分に対し、ステロイド軟膏の長期投与による副作用*を避けるために使用されますが、効果はあまり強くなく、中等度~強度クラスの外用ステロイドの置換に用います。使い始めに刺激感(ヒリヒリ感)を感じることがありますが、皮疹の改善とともに消失します。びらんや潰瘍面に使用することは出来ません。年齢により、使用する軟膏の濃度や量が異なります。

*ステロイド長期投与による副作用

  • 皮膚が薄くなる
  • 毛細血管が拡張する
  • 体毛が濃くなる
  • 皮膚炎(酒さ様皮膚炎)
  • 感染症(ウイルス、細菌、カビなど)

プロトピック(タクロリムス)軟膏の塗布量

https://www.maruho.co.jp/medical/toolorder/file/tool/5001406002.pdf

コレクチム(JAK阻害薬)軟膏

コレクチム軟膏(JAK阻害薬)は、アトピー性皮膚炎の原因となる生理活性物質(サイトカイン)であるIL-4, IL-13, IL-31が免疫細胞や神経にある受容体と結合した後、細胞内の炎症を引き起こすシグナルに関わるJAKを阻害することにより皮膚の炎症やかゆみを抑える薬です。プロトピックの様な刺激感がなく、目の周りにも塗ることが出来る軟膏です。目や口、鼻の中などの粘膜には塗らないようにしましょう。

https://www.corectim-patient.jp/corectim/about/index.html

コレクチム軟膏の塗布量

コレクチム軟膏の塗布量の目安

ステロイド軟膏と同様、ひとさし指の第一関節(1FTU=0.5g)で手のひら2枚分を塗ると適正量となります。

保湿剤

アトピー性皮膚炎では,皮膚バリア機能と保湿因子が低下しています。保湿剤の使用は,アトピー性皮膚炎で低下している水分含有量を改善し、皮膚バリア機能を維持することでアレルゲンの侵入予防と皮膚炎の予防、痒みの抑制につながると考えられています。保湿剤の適正な塗布量は、ステロイド外用薬と同じようにひとさし指第一関節(1FTU=0.5g)で手のひら2枚分が目安となります。

ヘパリン類似物質含有製剤(保湿作用)

  • ヒルドイドローション(サラサラしている、夏場に)
  • ヒルドイドフォーム(サラサラしている、夏場に)
  • ヒルドイドソフト軟膏(ややべたつきあり、冬場に)

ワセリン(保護作用)

  • プロペト(べたつきあり)
  • 白色ワセリン(べたつきあり)

抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は主に、皮膚のかゆみをコントロールする目的として、外用薬による治療に加え使用されます。抗ヒスタミン薬には大きく分けて、眠気が出やすいものと出にくいものがあります。運転注意喚起がない薬剤はフェキソフェナジン(アレグラ)、ロラタジン(クラリチン)、デスロラタジン(デザレックス)、ビラスチン(ビラノア)があります。また食事の影響を受けやすい薬としてはフェキソフェナジン(アレグラ)、ビラスチン(ビラノア)があります。また効果や副作用が同程度の薬でも構造の違い(「アミノ基」と「カルボキシル基」)により、効果や副作用に違いが出ることもあります。抗ヒスタミンを選ぶ際のポイントですが、 抗ヒスタミン薬を今まで内服したことがない方や、ドライバー、精密機器取扱の仕事の方は眠気が出にくい薬を選びましょう。その他の選ぶポイントとしては内服回数(1回か2回)、食事の影響を受けるかどうかなどがあります。 抗ヒスタミン薬を選択する際のフローチャートを作成しましたのでよろしければ参考にしてください。

※当院処方薬を中心に記載(効果等につき筆者の主観を含む)

 

リアクティブ療法とプロアクティブ療法

プロアクティブ(proactive)療法とは、急性期の治療によってしっかり改善させた後に,保湿薬によるスキンケアに加え、ステロイド外用薬やプロトピック軟膏、コレクチム軟膏などを週2 回程度塗布し、症状がない状態を維持する治療法です。それに対し,炎症が起こった時に治療薬で炎症をコントロールする方法をリアクティブ(reactive)療法といいます。どちらの治療法が優れているということではなく、生活スタイルや病状に適した方法で治療していくことが大切だと思います。

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