「風邪は治ったはずなのに、咳だけがずっと残っている…」 「咳止めを飲んでも良くならない…」
そんな経験はありませんか?
咳が2か月以上も続いている場合、それは「難治性慢性咳嗽(なんちせいまんせいがいそう)」と呼ばれる状態かもしれません。咳は、私たちの体が異物を排除するための大切な防御反応です。しかし、長期間続く咳には何らかの病気が隠れている可能性があります。
この記事では、咳が止まらない原因を調べるための検査や診断方法を、専門的な内容をかみくだいてご紹介します。
🔍目次
咳が止まらない…その原因は?
咳が長引く原因は一つではありません。慢性咳嗽(8週間以上続く咳)の背景には、以下のような疾患が隠れていることがあります:
- 咳喘息・気管支喘息:気道が炎症で敏感になり、咳が出やすくなる
- アトピー咳嗽:アレルギー体質に関連した咳
- 後鼻漏(こうびろう)症候群:鼻水がのどに垂れて咳を引き起こす
- 胃食道逆流症(GERD):胃酸が逆流してのどを刺激
- 感染後咳嗽:かぜのウイルスによって気道が過敏になったままの状態
これらは、検査をしなければ区別がつきにくいことが多く、自己判断で市販薬を続けても改善しないケースが多くあります。
診断ステップ①:問診と診察で見えてくること
まず行うのは、問診と身体診察です。これが診断の第一歩です。
例えば、次のような質問があります:
- 咳はいつから?日中だけ?夜間に多い?
- たんは出る?色は?
- 過去に喘息やアレルギーの既往歴があるか?
- 喉の違和感や鼻づまり、胃の不快感はあるか?
- タバコを吸っているか?ペットは?
また、医師は聴診器で胸の音を聞いたり、のど・鼻の状態を診たりして、どの病気が疑わしいかの「あたり」をつけます。
診断ステップ②:基本検査で原因を絞り込む
次に行うのが、原因をある程度絞り込むための基本的な検査です。
- 胸部レントゲン:肺炎や肺がん、結核などの重大な病気を除外
- 肺機能検査(スパイロメトリー):咳喘息・COPDなどを見つける
- 呼気NO検査(FeNO):喘息のサインである「気道のアレルギー性炎症」があるか測定
これらの検査で、咳の出どころが肺・鼻・胃などどこにあるのか、徐々に見えてきます。
さらに詳しく調べる精密検査
症状や基本検査だけでは原因が特定できないとき、さらに詳しい精密検査を行うことがあります。
- 副鼻腔CT:副鼻腔炎や後鼻漏の確認
- アレルギー検査:血液でアレルゲン(原因物質)を調べる
咳の原因は一つとは限らず、複数の病気が関係していることもあります。こうした検査により、全体像を把握していきます。
治療的診断:薬で原因を見つける方法も
検査だけでは診断が難しい場合、治療的診断というアプローチをとることもあります。
これは、「この薬が効くなら〇〇の病気かも」といった仮説をもとに薬を使ってみる方法です。
例:
吸入ステロイドを使って咳が改善→咳喘息の可能性
抗アレルギー薬で咳が減る→アトピー咳嗽の可能性
胃薬(PPI)で咳が良くなる→胃食道逆流症が原因?
このように、「咳を止める」ためだけでなく、「咳の原因を探る手段」として治療を使うこともあるのです。
咳が治らないとき、どうすればいい?
(当院Instagramより)
咳には必ず「原因」があります。大切なのは、「ただ咳を止める」のではなく、「なぜ咳が出ているのか」を知ることです。
そのためにも、早めに呼吸器内科や咳専門外来で診断を受けることが重要です。
当院では、長引く咳や原因不明の咳でお悩みの方に対し、専門的な検査と丁寧な説明を行っています。気軽にご相談ください♩
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