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【講演会参加】高用量インフルエンザワクチンについての講演会

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2025.07.29 東京で行われました高用量インフルエンザワクチンについての講演会に参加致しました。
高用量インフルエンザワクチンは諸外国では高齢者に対し接種を推奨されています。
本邦では来年以降の発売が予定されております。
以下、聴講録となります。ご興味がある方はご覧ください。

演題:「米国・英国当主要国で推奨されている高齢者向けの高用量インフルエンザワクチンがいよいよ登場」
演者:東京病院感染症センター長 長井英明 先生

・高用量インフルエンザワクチン:エフルエルダ(60歳以上対象)
・日本人は世界でも有数のワクチン忌避国である
・インフルエンザの疾病負担
・A型:HA1~18, NA:N1~11
・B型:ビクトリア系統, 山形系統はコロナ以降ほとんど0
・インフルエンザによる重症化リスク
・インフルエンザ重症化による死亡の原因のほとんどは高齢化である
・インフルエンザに同時感染する細菌感染:肺炎球菌が最多
・高齢者はインフルエンザによる入院医療費も高額となる
・加齢による免疫老化およびワクチンの有効性が低下する
・高用量インフルエンザワクチン
・インフルエンザ発症率を下げる(相対的有効性24%:対通常接種)
・重篤な心肺イベント、入院、肺炎を減らす
・通常のインフルエンザワクチンと比べると副作用(局所・全身)はやや多め
・インフルエンザワクチンによる公衆衛生的、経済的効果(米国)
・各国のワクチン接種は国が推奨し、費用もほぼ全てを負担している
・医療従事者(かかりつけ医)からのワクチン接種推奨が重要
・諸外国では高齢者に対し高用量インフルエンザワクチンの接種を推奨している

<引用文献と要約>

  • 国立感染症研究所: Infectious Diseases Weekly Report Japan. 2005:8
    日本におけるインフルエンザの発生傾向について述べており、毎年11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年1月から3月頃に患者数が増加し、4月から5月にかけて減少する傾向を示していることを報告している.

  • 国立感染症研究所: Infectious Diseases Weekly Report Japan. 2025: 27(4):11
    国内の過去10年間のインフルエンザ定点当たり報告数(2015年第1週~2025年第4週)を示しており、インフルエンザの流行状況の推移を週ごとの報告数で表している. 調査の限界として、年末年始や大型連休などでの報告数減少傾向が挙げられている.

  • 国立感染症研究所: Infectious Diseases Weekly Report Japan 2024-26(1):10
    インフルエンザによる入院が小児および高齢者で多く報告されていることを示している. 2017/18シーズンから2019/20シーズンにおける年齢群別の入院患者報告数を詳細に分析している.

  • 国立感染症研究所、今冬のインフルエンザについて (2019/20シーズン)、2020
    2019/20シーズンのインフルエンザの状況についてまとめたもので、インフルエンザによる入院患者の44〜73%が60歳以上であったことを含め、患者数や入院状況に関するデータを提供している. COVID-19の流行がインフルエンザの発生動向に影響を与えた可能性についても言及されている.

  • Macias AE et al. Vaccine 2021:39 (Suppl 1): A6 A14
    インフルエンザウイルスへの感染が慢性基礎疾患を悪化させ、入院や死亡のリスクを高める様々な影響を引き起こす「インフルエンザのドミノ現象」について解説している.

  • CDC Influeriza (Flu). People at Increased Risk for Flu Complications: 2024年9月11日アップデート
    このCDCのガイドラインは、インフルエンザによる合併症のリスクが高い集団を特定しており、65歳以上の高齢者、2歳未満の小児、喘息、慢性肺疾患、糖尿病、心臓疾患など様々な基礎疾患を持つ人々が含まれている.

  • 第74回(令和4年3月2日) 新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード:日本の医療データベースから算出された季節性インフルエンザの重症化率2022年3月2日
    この報告書は、日本の医療データベースを用いた季節性インフルエンザの重症化率について分析しており、年齢階級が上がるごとに重症化率が増加することを示している. 調査の限界として、データベースに真の病名ではない「検査病名」「レセプト病名」が含まれる点が挙げられている.

  • Ishida T. et al, J infect Chemother 2021, 27(3):480-485
    国内のインフルエンザ重症化による死亡率および入院の原因を調査しており、入院原因の55.3%が肺炎であったことを報告している. また、院内死亡例の年齢中央値も示している.

  • 厚生労働省: 【令和6年度】今シーズンのインフルエンザ総合対策
    インフルエンザワクチンの効果について言及しており、発症をある程度抑える効果や重症化を予防する効果があり、高齢者や基礎疾患のある人など、重症化する可能性が高い人に有用であるとしている.

  • Andrew MK, et al J Am Geriatr Soc. 2021 69 (3) 696-703
    インフルエンザにより入院した患者のうち、ADL(日常生活動作)の低下を経験した患者の割合が23%であったことを報告している. カナダにおける65歳以上の入院患者を対象とした研究であり、インフルエンザとその他の急性呼吸器疾患でのADL低下率を比較している.

  • Warren-Gash C. et al. Eur Respir. J. 2018:51 (3) 1701794
    インフルエンザによる心筋梗塞および脳卒中発症リスクについて調査しており、感染1〜3日後の調整IR(イベント発生率)で、インフルエンザウイルスが心筋梗塞で9.80倍、脳卒中で7.82倍のリスク増大を示したことを報告している.

  • Samson Si et al. J Diabetes Sci Technol, 2021:15 (1) 44-52
    インフルエンザによる2型糖尿病患者における血糖異常の発現率について研究しており、インフルエンザ罹患期間中に血糖異常の発現が有意に増加したことを報告している(発現率比1.74).

  • Okuno H. et al. Clin Infect Dis 2018:66(12) 1831-1837
    国内のインフルエンザ脳症の致死率について分析しており、65歳以上では20%であったことを報告している. 届出後に死亡した症例が追加報告されなかったため、致死率が過小評価された可能性があると述べている.

  • Liu Z. et al: Signal Transduct Target Ther. 2023 8(1):200
    「免疫老化」と関連疾患の特徴について説明しており、加齢に伴う免疫応答の低下(T細胞、B細胞などの変化)が感染リスクや加齢に伴う疾患の増加につながることを示している.

  • 河合直樹 日臨内科医会誌,2022:36 (5) 222-226
    国内における年齢層別にみたインフルエンザワクチンの有効性を前向きコホート研究で分析している. インフルエンザ発症に対する相対リスク(RR)は、65歳以上で1.12と、他の年齢層と比較して有効性が低い傾向を示している.

  • Taniguchi K, et al, Influenza Other Respir Viruses. 2021:15(2):293-314
    このシステマティックレビューは、日本の文献で報告されているインフルエンザワクチンの有効性を全体および年齢層別に推定している. 65歳以上のインフルエンザワクチンの有効性推定値(VE)は12.9%であり、65歳未満の40.1%と比較して低いことを示している.

  • 谷充 :順天堂医学 2009:55 (3) 240-244
    高齢者において加齢やフレイル、合併症の増加により、インフルエンザワクチンに対する免疫応答が健康な若年成人と比較して低下することが知られていることを述べている.

  • Manta AS, et al. Vaccine. 2009 27 (37) 5043-5053
    高齢者におけるインフルエンザワクチンに対する免疫応答の低下について言及している. 高齢者の免疫システムが弱まる「免疫老化」がワクチン効果に影響を与える可能性を示唆している.

  • Andrew MK et al. Open Forum Infectious Diseases. 2016:3 (suppl 1) 710
    高齢者におけるインフルエンザワクチン接種後の免疫応答の低下について触れており、加齢に伴う免疫機能の変化がワクチン効果に影響を与える要因であることを示唆している.

  • 社内資料 国内第Ⅲ相試験(QHD00010) [承認時評価資料]
    60歳以上の日本人健康成人を対象としたエフルエルダ筋注の国内第Ⅲ相試験の結果をまとめたもので、標準用量4価インフルエンザHAワクチンに対する優越性が検証されたことを報告している. 主な副反応として、疼痛、筋肉痛、頭痛が報告されている.

  • 社内資料 海外第Ⅲb/V相試験(FIM12) [承認時評価資料]
    65歳以上の健康成人を対象とした高用量3価インフルエンザHAワクチン(TIV-HD)の海外第Ⅲb/V相試験の結果を示している. TIV-HD群の標準用量3価インフルエンザHAワクチン(TIV-SD)群に対する相対的有効性は24.24%で、優越性が検証されたと報告している.

  • 社内資料 全ての試験の有効性結果の比較 [承認時評価資料を含む]
    インフルエンザシーズン10期の3,400万例以上を対象に実施されたランダム化比較試験および後ろ向きコホート研究のシステマティックレビュー・メタアナリシス結果をまとめている. 標準用量インフルエンザHAワクチンと比較して、併合したTIV-HDの相対的有用性は、インフルエンザ様疾患で15.9%、肺炎/インフルエンザによる入院で13.4%、肺炎/インフルエンザによる死亡で39.9%であった.

  • Lee JKH et al. Vaccine. 2021 39 (Suppl 1): A24-A35
    上記のシステマティックレビュー・メタアナリシスと同様の研究内容であり、65歳以上の成人における高用量3価インフルエンザワクチン(TIV-HD)の標準用量インフルエンザHAワクチンに対する相対的有効性/有用性に関するエビデンスを統合している.

  • 第22回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会2019年12月25日 ワクチンの研究開発について(開発優先度の高いワクチン接種回数) この厚生労働科学審議会の資料は、高用量ワクチンが「開発優先度の高いワクチン」の一つとして挙げられていることを示しており、既存のワクチンより抗原量が多く、発症予防効果を上げることを意図したワクチンであると説明されている.

  • エフルエルダ筋注 添付文書、2024年12月作成(第1版)
    エフルエルダ筋注の製品情報であり、各インフルエンザHAワクチンに含まれるHA抗原量について、標準用量ワクチンが15µgに対し、高用量ワクチンは60µgであることを示している. また、製法や組成、貯法、有効期間なども記載されている.

  • 第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会2024年2月14日, 海外製インフルエンザワクチンの製造株選定に伴う薬事関係の具体的なスケジュール等について(報告)
    海外製インフルエンザワクチン(エフルエルダ筋注など)と国内の既存インフルエンザワクチンの製造株選定プロセスの違いを説明している. 海外製はWHO推奨株から米国、EU、英国等の規制当局が複数の候補株を決定し、製造企業が選択するのに対し、国内製は国立感染症研究所の推薦に基づき厚生労働省が決定する.

  • WHO Recommended composition of influenza virus vaccines for use in the 2024-2025 northern hemisphere influenza season 2024年2月23日アップデート
    2024/25シーズンの北半球におけるインフルエンザワクチン推奨株を示しており、A型H1N1、A型H3N2、B型Victoria系統、B型Yamagata系統の各ウイルス株の情報を記載している. B型Yamagata系統については、2020年3月以降自然発生ウイルスの検出がなく、インフルエンザワクチンから除外すべきとの見解も示されている.

  • CDC Influenza (Flu) Who Needs a Flu Vaccine: 2024年10月3日アップデート
    米国において65歳以上の成人に対し、高用量不活化インフルエンザワクチン、組み換えインフルエンザワクチン、アジュバント添加不活化インフルエンザワクチンの3種類を優先的に推奨していることを示している.

  • UK Health Security Agency Guidance. Flu vaccines for the 2024 to 2025 season:2024年8月16日アップデート この英国のガイドラインは、65歳以上の成人に対してアジュバント添加4価インフルエンザワクチンもしくは高用量4価インフルエンザワクチンを接種することを推奨している. また、60歳以上65歳未満の臨床的にリスクの高い者への推奨も示されている.

  • Robert Koch Institute: Epidemiologisches Bulletin. 2024:4-22
    このドイツのガイドラインは、60歳以上の全ての人に対し、最新のWHO推奨株で製造された高用量インフルエンザワクチンが推奨されることを示している.

  • 社内資料 海外第Ⅲ相試 (QHD00013) [承認時評価資料]
    65歳以上の健康成人を対象とした高用量4価インフルエンザHAワクチン(QIV-HD)と高用量3価インフルエンザHAワクチン(TIV-HD)の免疫原性および安全性を比較する海外第Ⅲ相試験の結果を報告している. QIV-HDのTIV-HDに対する非劣性が検証されたことを示している.

  • 社内資料:海外第相試験(QHD00011) [承認時評価資料]
    60歳以上の健康成人を対象とした高用量4価インフルエンザHAワクチン(QIV-HD)と標準用量4価インフルエンザHAワクチン(QIV-SD)の免疫原性および安全性を比較する海外第えⅢ相試験の結果を報告している. QIV-HDのQIV-SDに対する優越性がいずれの年齢層においても検証されたことを示している.

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