「逆流性食道炎って、咳とどう関係があるの?」と思う方もいるかもしれません。でも、実は逆流性食道炎が原因で咳が長引くことがよくあります。胃酸が食道を逆流して喉にまで達すると、喉が刺激されて咳を引き起こすのです。この記事では、逆流性食道炎がどのようにして咳を引き起こすのか、症状や治療方法についてわかりやすく説明します。咳が長引く原因を知って、もし逆流性食道炎が関係しているなら、どんな治療を受ければいいのかがわかります。
目次📌
1. 逆流性食道炎とは?
逆流性食道炎は、胃の中にある酸(胃酸)が食道に逆流して、食道を傷つける病気です。通常、胃と食道の間には「下部食道括約筋」という筋肉の弁があります。この弁が正常に働いていれば、胃酸が食道に逆流することはありません。しかし、何らかの理由でこの弁が弱くなると、胃酸が食道に逆流し、食道を刺激して炎症を引き起こします。これが逆流性食道炎の原因です。
この病気では、胸やけや食後の不快感がよく起こりますが、意外にも咳を引き起こすこともあります。咳が長引く原因を探しているときに、実は逆流性食道炎が関係している場合があるのです。
2. 逆流性食道炎が引き起こす咳
逆流性食道炎による咳は、胃の中の酸が食道を越えて喉に達することで起こります。また、胃酸が喉を刺激すると、喉が痛くなったり、乾いた咳が出ることがあります。特に食後や寝ているときに咳がひどくなることが多いです。
その理由は、食後に横になると胃酸が食道に逆流しやすくなり、喉にまで達してしまうからです。このように、胃酸が喉を刺激すると、咳がひどくなることがあるのです。
3. 逆流性食道炎の種類と咳の関係
逆流性食道炎にはいくつかのタイプがあります。それぞれがどのようにして咳を引き起こすかに違いがあります。
- 典型的な逆流性食道炎: 胃酸が食道を逆流し、喉まで達します。この場合、胃酸が直接的に喉を刺激し、咳を引き起こします。
- 咽喉頭逆流症: 胃酸が食道の上部を越えて、喉に達します。喉に違和感を感じたり、乾いた咳が出たりします。
- 非びらん性胃食道逆流(NERD): 胃酸が逆流しますが、食道には傷がついていません。それでも、胃酸が喉に達することで咳が引き起こされます。
- 機能性ディスペプシア: 胃の運動が悪くなることによって胃酸が逆流しやすくなり、それが咳を引き起こします。
5. 逆流性食道炎の症状と見分け方
逆流性食道炎による咳を見分けるためには、いくつかの症状に注目することが大切です。次の症状がある場合、逆流性食道炎を疑ってみましょう。
- 胸やけ: 食後に胸が焼けるような痛みを感じることがあります。
- 食後のもたれ: 食後に胃が重く感じることがあります。
- 喉の違和感: 喉に何かが引っかかるような感覚が続きます。
- 咳上げ: 咳をすると喉がさらに痛くなり、咳がひどくなることがあります。
これらの症状が続く場合、逆流性食道炎が原因である可能性があります。
6. 診断と治療方法
逆流性食道炎を診断するためには、医師による問診が重要です。医師は、食後の症状や喉の違和感、咳がどのように現れるかを詳しく聞き取ります。診断には、「F-scale問診票」などを使用して、逆流性食道炎のリスクを評価することもあります。
FスケールはGERDの症状を簡単に評価することができる問診票です。12項目からなる質問項目をつけてみましょう。8点以上で高値と判断します。
Fスケール問診票
以下の症状について、当てはまる頻度をプルダウンから選んでください。
M.Kusano et al,J Gastroenterol,39,888(2004)
治療方法
- 薬物療法: 胃酸の分泌を抑える薬(プロトンポンプインヒビターやH2ブロッカー)がよく使われます。これにより、胃酸が食道に逆流するのを防ぎ、咳を減らすことができます。
- 生活習慣の改善: 食後すぐに横にならないようにする、脂っこい食事を避ける、喫煙を控えるなどの生活習慣の改善が効果的です。
7. 長引く咳が気になる方へ
もし、食後や夜間に咳が悪化し、胸やけや喉の違和感がある場合、逆流性食道炎が原因かもしれません。長引く咳が気になる方は、早めに医師に相談することをおすすめします。逆流性食道炎は適切な治療を受ければ改善することが多いので、早期に対処することが大切です。
参考文献