「咳が止まらない」「熱が続く」「なんだか息が苦しい…」。
そんなとき、風邪だと思って放っていませんか?実はその症状、細菌性肺炎かもしれません。
特に高齢者や持病のある方では、風邪に似た軽い症状から始まり、知らないうちに肺炎が進行しているケースもあります。
肺炎は、適切な治療を受ければ回復が見込める病気ですが、重症化すると命に関わる可能性もあるため、早めの見極めと対応がとても大切です。
この記事では、細菌性肺炎の原因や代表的な細菌、風邪との違い、かかりやすい人の特徴、そして予防法について、わかりやすく解説します。
目次
1. 細菌性肺炎とは?
肺炎とは、肺に「炎症」が起きる病気の総称です。原因となるのは、細菌やウイルス、マイコプラズマなどの病原体で、その中でも「細菌」によって引き起こされるものを細菌性肺炎と呼びます。
私たちの身体は、普段から鼻や喉などにさまざまな細菌を保有しています。健康な状態であれば、それらが肺まで到達しても、体の免疫が働いて排除してくれます。しかし、体力や免疫力が低下していると、細菌が肺にまで入り込み炎症を起こしてしまいます。
2. どんな細菌が原因になるの?
細菌性肺炎の原因となる主な細菌には、以下のようなものがあります。
- 肺炎球菌:最も多い原因菌で、高齢者では重症化しやすい。ワクチン接種が有効です。
- インフルエンザ桿菌:COPDなどの慢性肺疾患のある方に多く見られます。
- マイコプラズマ:若年層に多く、乾いた咳が長引くのが特徴。
- クレブシエラ:糖尿病やアルコール多飲者などに重症化しやすい菌です。
細菌が原因でかかる肺炎の中で、最も多いのが「肺炎球菌」という種類の菌によるものです。次によくあるのは「インフルエンザ菌(かん)」という菌で、これは名前が似ていますが、冬に流行るインフルエンザウイルスとは別のものです。
そして「マイコプラズマ」という菌も原因のひとつです。この中でも「肺炎球菌」は特に重くなりやすく、命にかかわることもあるため、特に注意が必要です。
3. 風邪と肺炎の違いとは?
「咳が出る」「熱がある」など、風邪と肺炎の症状は似ているため、見分けがつきにくいことがあります。
以下の表で、風邪と肺炎の主な違いをわかりやすくまとめました。
症状・特徴 | 風邪 | 細菌性肺炎 |
---|---|---|
熱 | 微熱(37℃前後) | 高熱(38℃以上)になることが多い |
咳 | 軽くて短期間 | 強くて長引く |
痰(たん) | 少ない、または透明 | 黄色〜緑色の痰が出ることが多い |
呼吸の状態 | 通常どおり | 息苦しさ、呼吸が浅くなる |
全身のだるさ | 軽め | 強い倦怠感、ぐったりすることも |
経過 | 数日で自然に回復 | 放置すると悪化、入院が必要なことも |
風邪は軽症で自然に治ることが多い一方、肺炎は適切な治療が必要な「命に関わることもある病気」です。高熱や強い咳、呼吸が苦しいといった症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
4. どんな人がかかりやすいの?
細菌性肺炎にかかりやすいのは、以下のような方です。
- 75歳以上の高齢者
- 糖尿病や心疾患、肺疾患などの持病がある方
- 喫煙者・過去に喫煙歴がある方
- 免疫力が低下している方(抗がん剤治療中など)
- 飲み込みが悪く、誤嚥をしやすい方
5. 肺炎の予防法について
肺炎は予防が可能な病気です。以下のような対策を行いましょう。
ワクチン接種
- 肺炎球菌ワクチン(高齢者・持病がある方に推奨)
- インフルエンザワクチン(肺炎の併発予防)
日常的な感染対策
- 手洗い・うがい・マスク
- 咳エチケットを守る
免疫力を保つ生活習慣
- 栄養バランスの取れた食事
- 十分な睡眠と適度な運動
6. まとめ
細菌性肺炎は、風邪に似た症状の裏に重篤なリスクを抱える病気です。特に高齢者や基礎疾患のある方は、重症化を防ぐために早めの対応が大切です。
「咳が続く」「熱がなかなか下がらない」「息苦しい」
などの症状がある場合は、自己判断せず、早めに医師へご相談ください。
当院では肺炎球菌ワクチンの接種や、肺炎の検査・治療も行っています。気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。
参考記事
・予防接種