年齢を重ねると、風邪が悪化して肺炎になるリスクが高まります。特に高齢者や慢性疾患をお持ちの方にとって、肺炎は命に関わることも。そこで有効なのが肺炎球菌ワクチンによる予防です。今回は、「プレベナー13」と「ニューモバックス」の違いを含め、肺炎対策について解説します。
📌目次
1. なぜ肺炎は高齢者にとって危険なのか
肺炎は日本人の死因第5位に位置する深刻な疾患です。特に高齢者や慢性疾患を抱える方は、免疫力が低下しており、軽い風邪やのどの痛みが悪化して肺炎に発展することも少なくありません。
さらに、肺炎にかかると以下のようなリスクがあります
- 入院期間の長期化による筋力低下(フレイルの進行)
- 基礎疾患の悪化(心不全・糖尿病など)
- 脱水・栄養不良・認知機能の低下
2. 肺炎球菌とは?ワクチンで予防できる肺炎
肺炎を引き起こす原因菌の中でも、特に高齢者にとって重症化リスクの高いものが「肺炎球菌」です。通常は鼻やのどに存在していますが、免疫が落ちたときに肺へ入り込み、感染症を起こします。重症化すると、敗血症や髄膜炎を引き起こすこともあり、ワクチンによる予防が非常に重要です。
3. 肺炎予防に使われる2つのワクチン
■ ニューモバックス(PPSV23)
- 23種類の肺炎球菌に対応(カバー範囲が広い)
- 免疫の持続期間は5年程度
- 65歳以上は定期接種の対象となる(公費助成あり)
■ プレベナー20(PCV20)
- 20種類の肺炎球菌に対応
- 結合型ワクチンで、免疫の質が高く持続力も期待できる
- 免疫力が低下している方や慢性疾患を持つ方にもおすすめ
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4. どんな人がワクチンを受けるべき?
以下に当てはまる方は、肺炎球菌ワクチンの接種が特に推奨されています
- 65歳以上の高齢者
- 糖尿病や心臓病、呼吸器疾患(COPDなど)を持つ方
- 慢性腎疾患・肝疾患のある方
- 免疫力が低下している方(がん治療中、ステロイド使用中など)
- 喫煙者、過去に肺炎にかかったことがある方
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5. 肺炎のサインを見逃さないために
肺炎は風邪や気管支炎と似た症状で始まるため、初期の段階では気づきにくいこともあります。特に高齢者では典型的な症状が出にくく、重症化するまで気づかれないケースも。
次のような変化があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
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- せきや痰が1週間以上続く
- 発熱、寒気、息切れ
- 食欲の低下や全身のだるさ
- 高齢者では意識のぼんやり、反応が鈍くなる
「何となく元気がない」「動きがにぶくなった」など、普段と違う様子も要注意です。
まとめ:ワクチンでしっかり肺炎予防を
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肺炎は高齢者の命を脅かすだけでなく、その後の生活の質にも大きな影響を与える病気です。予防として最も効果的なのが肺炎球菌ワクチンです。
65歳以上の方や慢性疾患をお持ちの方は、医師と相談の上、最適なワクチン接種スケジュールを立てましょう。
<参考記事>
・予防接種について