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長引く咳の専門外来での「咳の診かたと考え方」

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咳は長引くと生活に支障が出るため大変つらい症状です。日本における成人の長引く咳(慢性咳嗽)の有病率は2.89%、患者数は約300万人とも推定されており、決して珍しい病気ではありません(1)。「風邪をひいた後に熱が下がったのに咳が続く」「咳の治療を受けているにも関わらずなかなか良くならない」など、「長引く咳外来」を行っている呼吸器内科のクリニックには咳でお困りの患者さんが日々たくさんいらっしゃいます。このページでは、「長引く咳外来」では、咳をどのように診察し、どのように考え、どのように治療を行っているのかを具体的にご紹介したいと思います。

 

 

1. 咳の持続期間によって原因疾患が異なる

 

長引く咳の期間による分類と疾患一覧

 

咳の持続期間によって「0~3週」を急性咳嗽、「3~8週」を遷延性(せんえんせい)咳嗽、「8週~」を慢性咳嗽と呼びます(2)。咳の持続期間が長引くにつれて感染症による咳の割合が減っていくことが特徴です。例えば咳が出始めてから1~2週間の患者さんの多くは「感冒」や「感冒後咳嗽」「肺炎」「急性副鼻腔炎」などの感染症による咳が主な原因となります。しかし3週間を過ぎてくると感染症の割合は減少し「咳喘息」「喘息」「逆流性食道炎」「慢性副鼻腔炎」などの割合が増加します。もちろん一部の感染症(マイコプラズマや百日咳)では3週間を過ぎても持続することがあるので注意は必要です。そして咳の持続期間が8週を過ぎてくると、感染症による咳の割合は少なくなります。頻度は比較的稀ではありますが「肺結核」や「肺非結核性抗酸菌症」などの一部の感染症と、「肺癌」や「間質性肺炎」などの感染症以外で長引く咳の原因を念頭においた診療が重要となるのです。

 

2. 見逃してはいけない病気の除外が大切

 

長引く咳の診療は胸部X線検査からはじまる

 

咳が続く時に最も大切なのは「見逃してはいけない病気を除外すること」です。3週間以内の咳であれば「肺炎」を除外するために胸部X線写真を撮影します。3週間以上続く咳であれば「肺非結核性抗酸菌症」「肺結核」「間質性肺炎」「肺癌」を胸部X線検査で除外していきます。つまり、咳の診療の入り口は「胸部X線で異常が認められるかどうか?」ということになります。胸部X線で異常が認められなければその他の病気の検査に進みます。胸部X線で異常がある場合は、肺炎であれば治療しますが、それ以外の病気を疑う場合は「胸部CT撮影」や「基幹病院への紹介」を行うことになります。

 

3. 詳細な問診で咳の原因を絞り込む

 

胸部Xで異常が認められない場合を、咳嗽・喀痰のガイドライン(2)では「容易にその原因が特定できない咳嗽」と呼びます。ここから先は詳細な問診によって咳の原因を絞り込んでいくことになります。問診のポイントは「咳の時間帯」「痰の有無と性状」「喘鳴(ぜんめい)」「呼吸苦」「気道過敏性」「鼻症状」「のどの違和感」「胸やけ・もたれ症状」をくまなく聴取し、咳の原因となっている病気を特定することです。

 

3-1. 咳が起こる時間帯

 

咳の原因と好発時間

 

長引く咳の原因疾患によって、咳の好発時間は異なります。寝ている時に咳で目が覚める「夜間覚醒を伴う咳」は「感染症(肺炎、百日咳、マイコプラズマ)」と「咳喘息」「喘息」にみられる特徴です。「上気道咳症候群(後鼻漏による咳」は「起床時」と「就寝前」つまり、横になった時に悪化します。「逆流性食道炎」と「アトピー咳嗽」は「日中活動中(食後や会話中)」と「夕方から夜」にかけて悪化します。これらの症状を問診で聴取することで、咳の原因を特定することが出来ます。

 

3-2. 痰を伴う咳症状

 

痰の性状から考える咳疾患

 

痰の有無によって、長引く咳の原因として考えられる病気は異なります。痰が出ない咳を「乾咳咳嗽」といいますが「逆流性食道炎」「アトピー咳嗽」では乾いた咳が特徴です。咳が8週以上になると「間質性肺炎」も考える必要があるでしょう。一方、痰が出る咳を「湿性咳嗽(がいそう)」といいます。痰の性状により「白色か透明」「膿性(黄色)」「血痰」に分類します。「白色や透明の痰を伴う咳」では「咳喘息」や「喘息」、喫煙歴がある方では「COPD」を疑います。またアレルギー性鼻炎などによる後鼻漏「上気道咳症候群」でも鼻汁を透明な痰として自覚することがあります。「膿性(黄色い)痰を伴う咳」では感染症を主に疑います。咳の持続時間が3週以内の「急性咳嗽」では「感冒」「感冒後咳嗽」「急性副鼻腔炎」「肺炎」、3週以上咳が長引く場合は「慢性副鼻腔炎」、8週以上長引く場合は「気管支拡張症」「慢性気管支炎」「結核」「非結核性抗酸菌症」などを疑います。「血痰」が出る場合は「肺癌」「肺結核」「肺非結核性抗酸菌症」「気管支拡張症」などを疑い、胸部CTを含めた精密検査を必要としますので必ず呼吸器内科を受診されるようにしてください。

 

3-3. 喘鳴(ぜんめい)を伴う咳症状

 

喘鳴を来す疾患

 

喘鳴(ぜんめい)とは「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という呼吸音の1つで、気管支が狭くなる時にみられます。呼吸器疾患では主に「気管支喘息」と「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」で見られる症状です。頻度は少ないですが「気道内異物」や「気管支腫瘍」「喉頭浮腫」など、物理的に気管支が狭くなるような病気でも喘鳴が見られることがあります。そして循環器領域では「うっ血性心不全」で喘鳴がみられることもあり、頻度も比較的高く注意が必要となります。

 

過去にあった喘鳴も診断の手がかりに

 

過去の喘鳴の既往は喘息診断の手がかりとなる

 

喘息COPDは、時間の経過とともに病状の変動があります。症状悪化のピーク時には喘鳴が見られますが、ピークを超えると喘鳴が消失し咳や痰が残るため、必ずしも診察時点で喘鳴が聴取出来る訳ではありません。「以前かぜをひいた際などに喘鳴が見られたことがあるか?」という過去の喘鳴の既往は喘息COPDの診断を行う上でとても重要な情報となります。

 

3-4. 呼吸苦を伴う咳症状

 

咳と呼吸苦がある場合はまず胸部X線検査を

 

咳が長引き、呼吸が苦しくなる病気としては「肺気胸」「うっ血性心不全」「気管支喘息」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」「肺炎」「間質性肺炎」「肺癌」などがあります。気管支喘息COPD以外の疾患は胸部X線検査で除外することが出来るため、呼吸が苦しい場合はまず胸部X線検査を行うとよいでしょう。

 

3-5. 気道過敏性を伴う咳症状

 

気道過敏性を疑う咳症状

 

気道過敏性」は「喘息」や「咳喘息」などのアレルギーを原因とする気道疾患においてみられる特徴の1つです。アレルギー性炎症により気道が過敏な状態になることを「気道過敏性の亢進」といい、外的な刺激によって咳が出たり、出そうになったりすることを言います。外来では「気道過敏性が亢進している」場合に見られるエピソードを中心に聴取していき、当てはまる場合には「咳喘息」や「喘息」を疑う根拠となります。例えば「寒暖差」「悪天候」「人混み」「香水や柔軟剤の強い香り」「ほこり」「運動刺激」による咳や「風邪を引いた後に長引く咳」「就寝中の咳」などが挙げられます。

 

3-6. 鼻症状を伴う咳

 

上気道咳症候群とは

 

「咳なのに鼻?」と思われる方も多いかもしれません。鼻が喉に落ちることを「後鼻漏」と言いますが、後鼻漏が原因で咳が起こる病態を「上気道咳症候群」といいます。上気道とは喉より上、下気道とは喉より下(気管支や肺)を指します。上気道咳症候群を起こす原因には「アレルギー性鼻炎」「副鼻腔炎」などがあります。問診上は「鼻がのどにおちる感じはありますか?」や「咳払い感はありますか?」と質問します。

 

3-7. のどの違和感を伴う咳

 

咽喉頭異常感を来す咳の原因疾患

 

喉(のど)は声を出したり、飲み込んだり、呼吸をしたり、など様々な生体機能を持つ場所であり、様々な神経が集合している場所でもあります。そのため、少しでも異常があると、のどの違和感(咽喉頭異常)を来します。のどの違和感は「のどがイガイガする」「のどがムズムズする」「のどがつまった感じ」「のどに痰がはりついた感じがする」など様々な言い方で表現されます。そして咽喉頭異常感を伴う咳の原因には「咳喘息」「喘息」「喉頭アレルギー」「アトピー咳嗽」「咽喉頭逆流症」「上気道咳症候群」など多彩な疾患があります。

 

3-8. 逆流性食道炎と咳の関係

 

 

逆流性食道炎と咳が関係あるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は逆流性食道炎は長引く咳の原因では咳喘息に次いで多いとも報告されています。逆流性食道炎による咳には胃酸がのどまで上がってくる「呑酸(どんさん)」を伴う典型的な逆流性食道炎から、のどの違和感をきたす「咽喉頭逆流症」、胃の動きが悪くなる「非びらん性胃食道逆流(NERD)」や「機能性ディスペプシア」など、様々な疾患概念が混在しています。また咳がひどくなりおえっとなる「咳上げ」は咳を引き起こす原因そのものにもなります。問診上は「胸やけ」「もたれ」「咽喉頭異常感」「咳上げ」があるかどうかが重要となります。「F-scale問診票」は逆流性食道炎の可能性を評価することが出来る問診票で、当院の外来では長引く咳の患者さんに記載いただき評価するようにしています。

 

4. 咳の原因は1つとは限らない

 

 

長引く咳の診療はまず「胸部X線」で見逃してはいけない病気を除外し、「詳細な問診」を行い、長引く咳の原因を特定していくというお話をしてきました。さて、長引く咳は「単一の病気」で起こっていることが多いのでしょうか?実は咳の原因は1つとは限りないことが分かっています。大学病院の長引く咳患者さんを対象とした研究によれば、咳の原因は「複数の原因」が最多であり、「咳喘息逆流性食道炎」による咳が半数以上と最多であったと報告されています(3)。つまり長引く咳を治すためには、長引く咳の原因を全て特定し、漏れなく治療していくというアプローチが重要となります。これを「Treatable Traits Approach(治療可能な形質に対するアプローチ)」といいます(4)。当院の診療は長引く咳の原因をもれなく突き止め、治療していくという方針にもとづいておこなっています。

 

5. 長引く咳の検査

 

長引く咳の検査

 

長引く咳の検査の基本は胸部X線で、見逃がしてはいけない病気を除外します。そして問診と症状から疑われる病気を予想し、必要な検査を追加で組んでいきます。長引く咳の頻度として最も多い「咳喘息」や「喘息」の検査として、気道のアレルギーの有無をみる「呼気NO検査」を行います。呼吸困難がある場合は気管支がせまいかどうかをみる「気道抵抗性試験」も併せて行います。鼻症状があったり、黄色い痰が続く場合などは、副鼻腔炎の除外のために副鼻腔X線検査を行います。長引く咳の検査は全てを画一的に行うのではなく詳細な問診により必要な検査をもれなく行うことが大切となります。

 

6. 長引く咳の治療

 

 

「問診」「身体所見」「検査」で長引く咳の原因を特定したら治療を行っていきます。咳が起こる理由は、「肺や気管支」だけでなく「胃や食道」「鼻」「のど」に存在する「末梢咳受容体」に外的な刺激が加わることにより、延髄にある咳中枢に信号が送られるためです。そのため咳の原因が複数ある場合は、同時に治療を行うことが大切です。診断が正しければ2週間程度で症状は改善していきますが、改善が乏しい場合は治療の見直しを行うこともあります。初期治療でよくならない場合は、他の原因が隠れていることもありますので必ず相談しましょう。

 

6-1. 難治性慢性咳嗽とは

 

 

咳の原因を全て対処しても咳が治らず長引くことがあり、このような状態を「難治性慢性咳嗽(なんちせいまんせいがいそう)」といいます(5)。咳が起こる原因は「刺激側の問題」と「咳の神経側の問題」の2つに分類されます。「刺激側の問題」に対処する薬は「吸入」「内服薬」「点鼻薬」などです。一方このような薬を使用しても咳が改善しない場合は「咳の神経側の問題」の可能性があります。咳に関わる神経が過敏となって出る咳を「咳過敏症候群(CHS)」といいます(6)。この様な状態では通常の薬が無効であり、咳に関わる神経をブロックする薬が必要となります。最近、咳に関わる神経の1つである「P2X3受容体」をブロックする新薬である「リフヌア(ゲーファピキサント)」という薬が使用できるようになりました。副作用としては味覚異常があります。

 

7. 咳の原因となる疾患一覧

 

7-1. 感冒後咳嗽

なぜ風邪をひくと咳が出るの?

かぜ(感冒)は主にウイルス感染により気管支に感染を起こすことで咳が出ます。ウイルス感染を起こした場合、体としては外敵を排除し痰を排出させるために咳反射を起こします。つまりかぜによる咳は誰でも起こる防御的な生理反応といえます。ウイルス感染などにより気管支の粘膜が傷つくと、気管支は一時的に過敏な状態となり、気管支の粘膜が修復されるまでの間、おおよそ2~3週間は咳が出やすくなります。かぜ(感冒)をひいた後、2~3週間程度は咳が続くことがあり、これを「感染後(感冒後)咳嗽」といいます。

かぜをひいた時に咳が出る仕組み

それでは喘息咳喘息などの病気を既に持っている方が風邪をひいた場合はどうなるのでしょうか。これらの疾患では感冒を契機に気道過敏が悪化し咳嗽が続くことがあります。咳が出始めてから2週間以内では感冒後咳嗽なのか咳喘息喘息など他に咳を起こす疾患によるものなのかを区別することは難しく、病態として併存することもあります。これらの病気を診断するポイントとして、①他の病気による咳嗽を疑う所見があるか?②咳のピークが2週間以内にみられるか?③過去に喘鳴や呼吸苦、吸入による改善があるか?の3つを確認することが重要です。

感冒後咳嗽と咳喘息の違い

7-2. 気管支喘息

気管支にアレルギーによる炎症が起こることで、気管支が過敏な状態(気道過敏性の亢進)となり、何らかの刺激をきっかけに気管支が狭くなる病気です。咳や痰に加え、喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)や息切れ、呼吸苦が起こることが特徴です。深夜~早朝に悪化することが多く、夜間就寝中に咳や痰がからみ、呼吸困難のために起きることがあります。また風邪や季節の変わり目(春や秋)、寒暖差、天候の変化(台風など)をきっかけに悪化することが多く、治ったと思っても繰り返すことが病気です。症状を改善させるためには咳止めや去痰薬などの対症療法では治療効果が不十分であり、吸入薬による治療が必要となります。

7-3.咳喘息

咳喘息は喘息とは異なり喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)を伴わず、咳が長引く病気です。咳喘息はアレルギー性の炎症により気管支が過敏(気道過敏性の亢進)となること、気管支が少しでも伸び縮みすると咳が出やすくなっていること(咳嗽反応の亢進)が原因と考えられています。喘息と同様に深夜~早朝に悪化することが多く夜間就寝中に咳や痰がからみのために起きることがありますが、気管支はせまくないため呼吸苦や喘鳴(ゼイゼイ、ヒューヒュー)が起こることはありません。風邪や季節の変わり目(春や秋)、寒暖差、天候の変化(台風など)をきっかけに悪化することが多く、治ったと思っても繰り返すことが病気です。気管支拡張薬が咳に奏功することが診断基準となっています。喘息と同様に吸入薬(吸入ステロイド/気管支拡張薬:ICS/LABA配合剤)による治療を行います。

7-4. のどの違和感を伴う咳

アトピー咳嗽季節性喉頭アレルギー咽喉頭逆流症

のどの違和感(咽喉頭異常感)を伴う咳を起こす代表疾患として「アトピー咳嗽」「季節性喉頭アレルギー」「咽喉頭逆流症」があります。これらの疾患はのどの異常感(咽喉頭異常感)や咳払い感が特徴となります。花粉症などのアレルギー歴や胃酸逆流症を疑う問診票(F-scale)などを参考に、これらの疾患が疑われる場合には抗ヒスタミン薬やPPI(プロトンポンプ阻害薬)による診断的治療を行います。

7-5. 上気道咳症候群

鼻がのどに垂れ込むこと(後鼻漏)が原因で起こる咳のことを「上気道咳症候群」といいます。後鼻漏による咳はのどの神経を刺激したり、後鼻漏の気管への流入による刺激が原因で起こると考えられています。またアレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎などのアレルギー疾患は下気道(気管支)との関係が深く、鼻疾患があることで気道が過敏となることも知られています。後鼻漏は「鼻の奥に何か流れる感じ(後鼻漏感)」として自覚されることもありますが、自覚されないこともあります。多くは痰がらみの咳や咳払い感が繰り返されることが特徴で、横(臥床)になると悪化することが特徴です。後鼻漏の原因となる疾患(例えばアレルギー鼻炎や副鼻腔炎など)によって治療は異なります。

7-6.逆流性食道炎による咳

逆流性食道炎(GERD)は、長引く咳の原因として欧米で約1/3を占めると言われており、日本でも最近ではGERDによる長引く咳の患者さんが増えているという報告があります。咳は日中主体の咳で食後に悪化する咳が特徴で、就寝前など臥床時や食後に悪化する場合もあります。F-scale問診票で8点以上であればGERDを疑い、7点以下であってものどの違和感(咽喉頭異常感)や咳払いなどがあれば咽喉頭逆流症(LPRD)による咳を疑い耳鼻科での喉頭ファイバーをおすすめします。内視鏡の検査歴がありGERDと診断される場合はPPI(胃酸を抑える薬)による治療を行い、検査歴がない場合はPPIによる診断的治療を行い判断します。

7-7. COPD(慢性閉塞性肺疾患)

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、従来慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。タバコを長期に吸入することで生じた肺の炎症疾患で、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病です。喫煙者の15~20%がCOPDを発症し、40歳以上の人口の8.6%、約530万人の患者が存在すると考えられています。COPDの症状としては慢性的な咳や痰、痰がらみ、喘鳴(ぜんめい:ゼイゼイ、ヒューヒュー)、呼吸困難(息切れ)があります。診断は「呼吸機能検査」で行い、治療は「気管支拡張薬」や「去痰薬」で行います。

 

 

8. おわりに

 

咳は日常生活に大きな影響を与える症状であり、特に長引く咳はその原因が多岐にわたるため、適切な診断と治療が求められます。本記事では、咳の持続期間による原因疾患の違いや、見逃してはならない病気の除外、詳細な問診による診断の手がかり、症状ごとの鑑別のポイント、そして検査や治療の流れについて詳しくご紹介しました。咳の原因は一つとは限らず、複数の疾患が関与していることも少なくありません。そのため「何となく様子を見ていれば治るだろう」と考えて放置してしまうと、病状が悪化したり、重大な病気の発見が遅れる可能性もあります。当院では専門的な問診と検査を通じて、一人ひとりの咳の原因を丁寧に探り適切な治療を行っています。「咳が長引いている」「市販薬を使っても良くならない」「夜間や運動時に咳が出る」といった症状がある方はお早めにご相談ください。咳の背後に潜む病気を見逃さず安心して日常を送れるよう私たちが全力でサポートすることをお約束いたします。

<参考記事>

・気管支喘息(ぜんそく)と咳喘息はどう違う?原因・症状・治療について解説!
・私は本当に喘息?その疑問に呼吸器内科専門医が答えます
気管支喘息(喘息・ぜんそく)
・気管支喘息(治療)
・ピークフローメーター【喘息の診断・管理】
肺機能検査(呼吸機能検査・スパイロメトリー)【呼吸器疾患の診断・管理】
・気道抵抗性試験(モストグラフ)【喘息の診断・管理】
・呼気NO(FeNO)検査【喘息の診断・管理】
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・咳喘息
・鼻が原因の咳
・のどが原因の咳
・逆流性食道炎
・アトピー咳嗽はどんな病気?症状・病態・治療について解説!
・「会話中に出る咳」の原因・検査・治療について解説!

 

<引用文献>
(1)Tobe K,et al. BMJ Open Respir 2021:8(1)
(2)咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025

(3)Kanemitsu Y, Allergol Int. 2019 Oct;68(4):478-485.
(4)McDonald VM, Eur Respir J. 2019 May 9;53(5):1802058.
(5)Irwin RS, et al. Chest. 2006; 129(1 Suppl): 1S‒23S.
(6)Song WJ,Allergy Asthma Immunol Res. 2017 Sep;9(5):394-402.

 

著者

医療法人社団 ギブネス
葛西よこやま内科・呼吸器内科クリニック院長 横山裕

横山裕

資格
  • 総合内科専門医
  • 呼吸器内科専門医
  • アレルギー専門医

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