感染後咳嗽(かんせんごがいそう)とは、風邪が治ったあとも咳だけが長く続く症状のことです。「熱や鼻水は治ったのに、咳だけが何週間も続く…」 そんな経験、ありませんか?
この状態は「感冒後咳嗽」とも呼ばれ、ウイルスなどで傷ついた気道の粘膜が敏感になることが原因です。この記事では、感染後咳嗽の特徴・原因・治療法・いつ受診すべきかについて、わかりやすく解説します。
1. 感染後咳嗽とは?〜かぜの後に咳が残る理由〜
風邪の熱や鼻水は治っても、咳だけが2〜3週間ほど続くことがあります。
これは、ウイルスで傷ついた気道の粘膜が敏感になり、回復まで咳が続く状態です。
この状態を感染後咳嗽といいます。
多くの場合は自然に治りますが、人によっては8週間ほど続くこともあります。
2. 原因となるウイルスや細菌
感染後咳嗽の主な原因は風邪のウイルスです:
- ライノウイルス
- インフルエンザウイルス
- コロナウイルス
- RSウイルス
- アデノウイルス
一部では以下のような細菌が原因(1)となることもあります:
- マイコプラズマ
- 百日咳菌
- 肺炎クラミジア
(1)日内会誌109:2109~2115,2020yyより
3. 感染後咳嗽の主な特徴
咳が長引く場合は以下の点に注意しましょう。
- 風邪の症状が治まったあとに咳だけが3〜8週間残る
- 体調はよくなっているのに咳が続く
- 会話・冷たい空気・運動で咳が出やすい
- 夜間に咳が悪化しやすい
- 自然に治ることが多いが、長引くと生活に支障が出る
感染後咳嗽は多くの場合、時間の経過とともに改善しますが、生活の質を下げる原因にもなるため、適切に対処することが重要です。
4. ほかの病気との見分け方
咳が長引くと、以下のような他の病気も考えられます:
これらの病気は治療方法が異なるため、自己判断せず医療機関での診断が重要です。
5. 治療法と日常生活のポイント
感染後咳嗽には以下のようなお薬が使われます:
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- 抗ヒスタミン薬(アレルギー反応を抑える)
- 漢方薬(麦門冬湯など)
- 中枢性鎮咳薬(咳止め)
- 吸入薬(イプラトロピウム、ステロイド)※保険適応外の場合あり
日常生活で心がけたいこと:
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- 部屋の加湿(乾燥を防ぐ)
- タバコや香水、冷たい空気などの刺激を避ける
- 枕を高めにして寝る(夜間の咳対策)
6. まとめ|咳が長引くときは、早めに相談を
「風邪が治ったのに咳が止まらない」——そんなときは感染後咳嗽かもしれません。
咳が長引くと、睡眠や仕事に支障が出たり、ストレスが溜まったりすることもあります。「様子を見る」よりも、「相談してみる」という選択を。
当院では、呼吸器内科専門医が丁寧に診察を行い、必要な検査・治療をご提案しています。気になる咳がある方は、お気軽にご相談ください。
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