こんにちは、葛西よこやま内科・呼吸器内科です。
今回は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に欠かせない「CPAP(シーパップ)」について、わかりやすくご紹介します。「いびきがひどい」「夜中に息が止まっている」「日中の眠気が強く困っている」そんな症状でお悩みの方も多いかと思います。睡眠は健康の土台です。質の良い睡眠を取り戻すことは、毎日の元気や健康寿命に繋がります。この記事では、CPAPがどのような治療機器で、どんな効果があるのかをご紹介します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる、または浅くなる状態が続く病気です。主に、のどの奥の気道が狭くなったり塞がったりすることで起こります。一時的に呼吸が止まることで体内の酸素濃度が下がり、睡眠の質が大きく低下。眠っているはずなのに、朝起きた時に疲れが取れていなかったり、日中に強い眠気や集中力の低下を感じることが多くなります。
CPAP(シーパップ)って何?
CPAPは「Continuous Positive Airway Pressure(持続陽圧呼吸療法)」の略称です。睡眠時無呼吸症候群の治療において最も一般的かつ効果的な方法として使われています。
寝ている間に専用のマスクを鼻や口に装着し、機械から送られる一定の空気圧で気道を広げ、呼吸が止まるのを防ぐ装置です。
この「持続的な空気の圧力」が気道を閉じにくくして、無呼吸を改善します。
睡眠時無呼吸症候群の症状とリスク
主な症状
- 激しいいびき
- 睡眠中の息苦しさや呼吸が止まる感覚(家族に指摘されることも多い)
- 朝の頭痛や喉の渇き
- 日中の強い眠気や疲労感
- 集中力の低下やイライラ感
放置すると怖い合併症・リスク
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、以下のような健康リスクが高まります。
1. 高血圧の悪化
無呼吸により体内の酸素が不足すると、血管が収縮し血圧が上昇します。これが慢性的になると高血圧が悪化し、心臓への負担も大きくなります。
2. 心疾患のリスク増加
無呼吸の影響で心臓は酸素不足に対応しようと過剰に働くため、心筋梗塞や心不全、不整脈などの心疾患の発症リスクが高まります。
3. 脳卒中のリスク増加
血圧の上昇や動脈硬化の進行が原因で脳卒中のリスクも高まります。脳の血流障害は命に関わる重大な問題です。
4. 糖尿病や代謝異常の悪化
睡眠の質が悪いことにより、インスリンの働きが低下し血糖値がコントロールしにくくなります。その結果、糖尿病や肥満のリスクも増加します。
5. 日常生活への影響
強い眠気により注意力が低下し、仕事や運転中の事故のリスクが高まります。生活の質が低下するだけでなく、事故や怪我のリスクも増えます。
このように、睡眠時無呼吸症候群は単なる「いびき」や「眠気」だけの問題ではなく、全身の健康に大きな影響を及ぼす病気です。早めの治療開始がとても重要です。
CPAPの仕組みと使い方
CPAP機器は、コンパクトな空気圧送装置と専用マスクで構成されています。
装置から送られる空気が一定の圧力を保ち、気道がつぶれないように「風で押し広げる」イメージです。
多くの場合、鼻マスクを使用しますが、口呼吸の方は口マスクやフルフェイスマスクもあります。
使い方のポイント
- 毎晩寝る時に装着することが大切
- 慣れるまでは違和感を感じることもあるが、継続が効果につながる
- 機械のメンテナンスやマスクの清掃も重要
CPAPの効果とメリット
- 無呼吸の回数が激減し、睡眠の質が大幅に改善される
- 日中の眠気が減り、仕事や運転時の安全性が向上
- 血圧や心臓の負担が軽減され、生活習慣病のリスクが下がる
- いびきの軽減で、同じ部屋で寝る家族の睡眠の質も良くなる
患者さんからは、「朝の目覚めが変わった」「日中のだるさが取れた」など喜びの声も多く聞かれます♪
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は決して放置してはいけない病気ですが、CPAP治療によって安全かつ効果的に改善できます。
「いびきがひどい」「日中の眠気が強い」と感じる方は、早めに専門医に相談しましょう。
検査は保険適用でお調べできますので、気軽にご相談ください!
かさいよこやま呼吸器内科では、最新の診断・治療機器を用いて、患者さまに合った適切な治療を提供しています。睡眠の質を取り戻し、毎日を元気に過ごしましょう!

<参考記事>
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