「かぜをひいた」「のどがいたい」「せきがつづいている」など何かお困りの症状が出て、ご自宅近くあるいは職場の近くに受診できるクリニックを探すことがあると思います。当院は「呼吸器内科」を専門に内科や小児科などを標榜するクリニックですが、「呼吸器内科」のクリニックには「どのような方がお越しになるとよいか」「どのような医療が受けられるのか」について主にまとめてみたいと思います。
Q）呼吸器内科とはどのような診療科ですか？
A）
・呼吸器内科とは、主に呼吸の通り道である「気道」および「肺」を取り扱う診療科のことです。
・同じ呼吸器内科でもクリニックと病院では主に対象とする病気が異なります。
・大きな病院では入院を必要とするような疾患、クリニックでは外来通院が必要な疾患を多く診ていることが多いです。
・呼吸器内科のクリニックには、病院での治療が必要な病気を見つけ病院へ紹介する「ゲートキーパー」としての役割があります。
＜病院の呼吸器内科で診察することが多い病気＞
「肺癌」などの悪性腫瘍や、「肺炎」「肺結核」「肺非結核性抗酸菌症」「肺真菌症」など時に入院治療が必要となる感染症、「間質性肺炎」「肺サルコイドーシス」「膠原病に伴う肺疾患」などのびまん性肺疾患、「気胸」「喀血（血痰）」「呼吸不全」など緊急性を要する疾患、「注射を必要とするような重症喘息」「酸素やリハビリを必要とするようなCOPD（肺気腫）」を診察することが多いです。
＜呼吸器内科クリニックで診察することが多い病気＞
「長引く咳」「咳喘息」「喘息（軽症から重症まで）」「小児喘息」「睡眠時無呼吸症候群（CPAP治療）」「アレルギー性鼻炎」「蕁麻疹」などのアレルギー疾患「COPD（肺気腫）の軽症～中等症」などを診察することが多いです。
Q）どのような症状があれば呼吸器内科のクリニックを受診するべきですか？
A）
・「長引く咳や痰」「息切れ」「呼吸苦」「喘鳴（ゼーゼー、ヒューヒューする）」などがあれば呼吸器内科を受診されると良いでしょう。
・「血痰」「喀血」「胸痛」「強い呼吸苦」がある場合は緊急性を要する場合があります。クリニックへの受診を考えている場合は、必ず事前に問い合わせをしましょう。強い症状がある場合は、救急外来を受診されるか、躊躇せず救急要請を行ってください。
Q）呼吸器内科を専門に標榜するクリニックではどのような医療が受けられますか？
A）
・咳や痰や呼吸苦（喘鳴）などの呼吸器症状があって、まだ病気の診断がついていない状態で受診される患者さんがほとんどです。
・クリニックでは病院よりも初診患者さんの数を多く診ており、「呼吸器症状に対する診断を行うこと」「病院に紹介しないといけないような、見逃してはいけない呼吸器疾患をみつけること」の判断を数多くしていますので、まず呼吸器症状がありお困りの際はクリニックに受診すると良いでしょう。
・長引く咳の原因となるような病気である「咳喘息」「喘息」「アトピー咳嗽」「逆流性食道炎」「COPD（慢性閉塞性肺疾患）、肺気腫」の患者さんを数多くみています。これらの疾患に該当する患者さんでお困りの方は呼吸器内科を専門とするクリニックに受診されると良いでしょう。
・呼吸器内科クリニックの中には、重症喘息の治療を数多く行っているところがあります。（当院でも100名以上の患者さんの治療を行っています）「生物学的製剤」という自己注射薬の選択肢があり、喘息が増悪することを予防し、副作用の懸念がある全身ステロイド投与を回避するというメリットがあります。最大限の喘息治療を行っているにも関わらず、年に数回喘息が増悪し、全身ステロイド（注射や点滴、内服薬）を使用されている喘息患者さんは一度、呼吸器内科を専門とするクリニックに相談してみましょう。
＜まとめ＞
呼吸器内科のクリニックでは、気道や肺に関連する病気を専門に診療します。長引く咳や喘息、睡眠時無呼吸症候群、アレルギー性鼻炎などが主な対象です。初期診断を行い、必要に応じて病院へ紹介する役割も担っています。重症喘息の患者には「生物学的製剤」を用いた治療を提供し、効果的な管理を行っています。呼吸器症状にお困りの方は、ぜひ呼吸器内科を専門とするクリニックに受診してみてください。
